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人にすがるのではない【金光新聞】

まさに寝耳に水の出来事

 陽子さん(52)が信心のご縁を得て、十年がたとうとしていた、おととしのことです。浄水器など水回り用品の営業をしていたご主人がリストラに遭いました。それを機に、「貸した金を返してほしい」という督促が、陽子さん方に寄せられるようになったのです。【金光新聞】

 思いもかけないことに驚き、一体どうなっているのかとご主人に問いただすと、浄水器の売り上げ成績を上げるために、自らサラ金でお金を借りて購入し、その借入金返済のために、さらに知り合いにも借金していたと、重い口を開いて打ち明けたのです。

 陽子さんにとっては、まさに寝耳に水の出来事でしたが、やがて、何軒もの業者から借金返済を求める電話がかかるようになりました。

 陽子さんはご主人と教会に参拝し、事の次第をお届けしました。その一方で、親族に援助を請いましたが、全額を返済できるめどは立ちませんでした。

 そこで、銀行で融資を受けられるか相談してみることにしました。応対してくれた銀行員は、親身に相談に乗ってくれ、いちるの望みが見えてきました。ところが、その翌日、融資の審査が通らないと伝えられました。融資に望みをつないでいただけに、陽子さんのショックは大きく、全身から力が抜けていきました。

ふと心に浮かんだのは

 すっかり気力をなくした陽子さんでしたが、とにかく結果を教会の先生に伝えようと、気力を振り絞って電話をしました。「先生、無理でした」。落胆しきった声の陽子さんに先生は、「しっかりせんといかんよ! まだ、方法はあるはずだからね」と、これまでにない厳しい口調で言いました。

 陽子さんは食事ものどを通らず、精神的にも肉体的にも参っていきました。いよいよ万策尽きた陽子さんは、ご主人と教会に参拝して、あらためてお取次を頂きました。先生は、「もう一息というところまで話は進むものの、最後にはかなわない。これはどこかが違っているからではないか」と二人に問い掛け、「人を当てにするのではなく、神様におすがりしておかげを頂こう。そのためには、神様に一心にならなければ」と言いました。

 そう言われても、陽子さんにはどうすればいいのか分からず、とにかく祈るしかありませんでした。そうした中で、ふと「自己破産」ということが心に浮かびました。言葉は聞いたことがありましたが、それがどういうことなのかはまったく知りませんでした。その思ってもいなかったことが、その後具体化していき、自己破産による免責手続きを進めることになりました。知人から紹介された弁護士さんは、「借金が遊興によるものでなく、これまでに免責を受けたこともないから、まず大丈夫でしょう」と言い、「あなたたちの場合は問題が複雑になっていないので、自分で手続きを進めてみなさい」と、書類作成について教えられました。その手順に従って、陽子さん夫婦は自己破産の手続きを進め、裁判所で受理されると、その日を境に借金返済を迫る電話はかかってこなくなりました。

 生活のための借金だったとはいえ、お金を借りた人たちに迷惑を掛けてしまう結果を招いたことを、陽子さん夫婦は深く悔やみ、二度と間違いを犯さないよう、何事も神様に願いながら、信心をつえにした生き方に取り組んでいく覚悟を強くしています。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています。
メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2009/04/24 09:02:15.440 GMT+9



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