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本年を振り返って

金光教報 『天地』 平成22年12月号 巻頭言

 立教151年の今年も残すところ、あと1ヶ月になった。
 今年度は、ご本部参拝の方々には多大のご不便とご迷惑をおかけしたが、春の天地金乃神大祭後から、残された課題であった祭場屋根天井耐震補強および改修工事、石垣耐震対策のための境内休憩所移転工事に取り組んできており、今日まで予定どおりに進捗のおかげをこうむっていることは誠にありがたいことである。
 今年は佐藤内局として任期満了の年であったが、来る平成25年にお迎えする教祖130年祭に向かって、おもに学院教育の現状と課題を確認する「人材育成・教育に関する会議」や、制度上の問題点を検討する教政課題懇談会、さらには「運動に関する懇談会」などをとおして、これからの教政・教務の役割と課題を明らかにしようと進めてきた。そして、計らずも再度、教政の任に当たらせてもらうことになった。
 現在・教団を取り巻く状況には、かつて経験したこともないほどに厳しいものがある。信奉者の信心継承、後継者不足による教会の減少、教会、教団の財の縮減など、さまざまな問題があり、どれをとっても簡単に解決できるものではない。ただ、そうではあっても決して悲観したり、あきらめることはない。われわれは、教祖様、歴代金光様のお取次によって、どのように困難で難儀なことであろうと、この道の信心で必ずおかげになっていく筋道を教えていただいている。問題が難しければ難しい時こそ、この道の信心の原点に立ち返って、おかげを受けさせていただかなければならないのだ、とつくづく思わせられる。
 それにてついて、教祖様は、大病のおかげを受けられた荻原須喜さんに、「これからのう、人が痛いと言うて来たら、自分のつらかった時のことと、おかげを受けてありがたい時のことを思い出して、神に頼んでやれ。われはもう治ったから人のことは知らんというような心を出すと、またこの病気が起こるぞ」と教えられている。すなわち、教祖様はじめ直信先覚は、信心して受けたおかげの喜びと感動を生涯持ち続けられ、そのご自覚をもとに、難儀に苦しむ氏子を助けたいとの神様の願いに無条件で従われ、御取次のご用にお立ちくだされたものと頂く。
 さらに、今一つ思い起こされるのは、慶応三年の教祖様のご事跡である。
 「御覚書」によると、年に一度の祭り日である9月22日、萩雄様が九死一生の大病に陥られた。母親のとせ様は、父親の教祖様を呼ばれ、「このとおりなり、いかがいたしましょうか。命乞いの願いしょうなされ」と申される。教祖様は、「命乞いの願い、なにをする。うちのものはみな神様のもの。日ごろの心得かた改め。大切な年に一度のお祭りに、死ぬるというような病気になるも、家内中の心から… 私、きょうはあなた(神様)へのご用いたさねばならん」と仰せられ、お広前に出られ、終日、氏子のご祈念、御取次に当たられたのである。
 誠に厳しいご用姿勢であるが、その萩雄様は、翌23日に「神様お差し向け」としての茶漬けを食され、「明け24日かゆを食べ、しだいに食づき、日々快方におもむき」、10月1日には、お広前に出てお礼を申され、やがて全快される。そのなかにあって、10月5日、「門の戸開き、敷居をつぶし」とのお知らせが示され、教祖様のお広前は、昼夜を問わず難儀な氏子に快方されていく。そうして、その約1ヶ月後、「一つ、日天四 月天四 鬼門金乃神、取次金光大権現のひれいをもって、神の助かり。氏子の難なし、安心の道教え」との、慶応3年11月24日のお知らせが示されるのである。
 こうした一連のご事跡からは、「うちのものはみな神様のもの」という境地に貫かれて、一筋に神様のご用へと心を向けていかれる教祖様のご信心と、種々の葛藤を抱かれながらもそのご信心に従われていったご家族の歩みが浮かび上がってこよう。
 このような教祖様ご一家のご信心の歩みを拝する時、歴代金光様はじめ直信・先覚・先輩諸師もまた、「わが物というものは一切ない」という信心の境地に生きようとされたのであり、その境地を求めていかれるなかに、一切のものから自由になられ、天地という広大なお広前でのご用を進められていくことになったのではないかと思わせられる。
 ともすれば目先のことにとらわれ、天地の親神様の大きな世界を見失いがちになる私たち人間であるが、この道は、人や物、形のあるものを目当てにするのではなく、目には見えないが、この天地の根源である天地金乃神様へのご信心をとおして、無限のおかげをこうむっていく「神人の道」である。そのことに思いをいたし、この一年を締めくくり、平成23年の新年を大きな希望と喜びをもって迎えさせていただきたい。

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投稿日時:2010/12/03 10:23:00.858 GMT+9



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