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事故起こした女性案じ 【金光新聞】

電話ボックスに車が

 昨秋のある夕暮れ時のことでした。
 母親の典子さんと教会へ参拝してきた高校生の清子さん(18)が、お結界の私のもとへ来るなり、「先生! さっき、公衆電話ボックスに車が突っ込んだんです。電話ボックスはぐにゃっと曲がって、車も前面が大きくひしゃげましたが、運転していた女の人が車から無事に降りてこられたので、本当によかったです。ありがとうございました」と言いました。
 その事故というのは、清子さんが母親に電話しようと、公衆電話ボックスへ入ろうとした瞬間に起きたもので、少し時間がずれていたら事故に巻き込まれていたかもしれなかったのです。私は、神様にお礼を申し上げながら、清子さんの態度に深く胸を打たれました。

 というのも、清子さんは事故に巻き込まれる直前で事無きを得たわが身の幸運に感謝するだけでなく、事故を起こした女性の身を心配し、その無事が分かると、その女性に代わって、神様へお礼を申したからです。
 私は、「神様が清子ちゃんの体を数秒間抱いていてくださったのよ」と話しながら、典子さん家族のこれまでの歩みを思い、「神様、よくぞここまでお育てくださいました。どうぞ、このまま素直な心でお育てください」と願わずにはいられませんでした。
 現在、穏やかな生活を送る典子さん一家ですが、数年前までは、祖母や叔父さんの介護、夫の身に突然降り掛かったリストラと、経済的にも精神的にも苦しい時期が続きました。典子さんは、その困難の中を、教会へ参拝しながら信心を支えに乗り越えてきたのでした。
 その中で育った清子さんと、妹の善子さん(17)姉妹も、つらい思いをしたこともあったことでしょう。そんな二人の姉妹は、典子さんに連れられて、幼いころから教会へ通い、信者さんたちの輪の中へ溶け込んで、吉備舞を習うなど、教会とのかかわりの中で成長していきました。

元気な心で神様にお礼

 二人が、高校生になると、教会が、家と学校の真ん中に位置していたこともあって、姉妹は自分の意志で教会へ参拝するようになりました。夏の暑い時にも、自転車で汗を流しながら「お参りに来ました!」と元気な声でやってきては、広前で手を合わせます。そして、うれしかったこと、悲しかったことなどを私に語ります。時には、両親とけんかをして、深夜に教会へ飛び込んできたこともありました。
 妹の善子さんは昨年、教会の大祭の祭典後、親子3人でそれぞれの信心体験を発表した時、次のように話しました。

 「私は、中学の時には、ささいなけんかからいじめに遭って、つらく悲しかった時、教会で先生にお届けすることで自分の心が軽くなり、自分も周りもよい方向へと変わっていきました。その時のことを祖父に話すと、『何かあった時、いつでも元気にならせてくださる、そんな教会に出合えた。それが善子が頂いた一番のおかげだよ』と言ってくれました。悩んだり、落ち込んだりする時もあるけれど、元気な心で神様にお礼を言えることが、神様への一番のお返しだと思います」
 姉妹は今、かわいい後輩たちに吉備舞を教えることを通して、教会で育まれる人と人とのつながりの素晴らしさと大切さを、元気な心で伝えてくれています。
メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2011/04/19 13:29:12.848 GMT+9



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