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生かし育む働き伝える 【金光新聞】

ほんまに神様いてると思ってんの?

 私はかつて、大阪の金光教系の高校で宗教教育の授業を受け持っていました。
 ある日、神様について話をしていた時のことです。突然、少々やんちゃな一人の男子生徒が質問してきました。

生徒「先生は、ほんまに神様いてると思ってんの?」
私 「何や、いきなり。おられると思ってるよ」
生徒「先生、悪いけど神様なんていてないよ」
私 「君、えらい自信ありそうやけど、なぜそんなにはっきり言えるの」
生徒「そんなら先生、証拠見せてえな。神様はどんな姿しとるんか、ここに連れてきてくださいよ」
私 「君の考えているような神様はおられんかもしれんけど、そんなら、われわれ人間は一体誰が創らはったと思う? この地球はどうしてできたのかなあ。宇宙の誕生から百数十億年の時の流れの中で起こってきたさまざまな現象の根源は何だと思う?」
生徒「それは神様じゃなくて、自然の働きとちがうん」
私 「私はね、その自然というところを神様と置き換えて受け止めているんやけど」
生徒「それはちょっと無理があるなあ」
私 「しかしねえ、この天地の間にある全てのものを生かし、育てている働きだから、自然という言葉だけで片付けられん気がするよ。この、万物一切を生かし育む働きを金光教では『天地のいのち』と捉え、私は神様と受け止めているんやけどね」


生かされて生きていることに感謝

 生徒の素直な疑問にどう答えるかは、私自身の信心が試されることでもありました。私は、生活の具体的な場面で神様の働きを考えてもらいたいと思い、生徒たちがイメージできるよう心掛けて話すように努めました。
 ある時、通学途上の最寄りの駅で、学生風の男性が電車に飛び込んで自殺する現場を偶然目撃した女子生徒と話す機会がありました。
 彼女はそのことにショックを受け、なぜその男性は自ら命を絶たなければならなかったのか、生きるとはどういうことなのかと悩み始めたそうです。そして、「先生、生きていく上で信仰心はどんな意味を持つんですか」と聞いてきました。

 私は心中で祈りながら、「信仰心とは、苦しい時や困った時に神様にお願いするということだけでなく、人が生きていく営みの全てに関わる大切なことだと思うよ。今この時、生かされて生きていることに感謝していくことで、喜びの心が生まれ、人生が輝いていくんじゃないかな」と話しました。
 生徒たちは、さまざまな問題や悩みにぶつかりながら、相談を持ち掛けてきます。その都度、私は神様に願いながら向き合い、たとえ〝神様〟という言葉を使わない場合でも、人を生かし育む働きを伝えようと努めました。

 その時々に、私の話したことがどれだけ理解されたかは分かりません。でも、生徒が将来、何か問題に突き当たった時などに私の話を思い出し、困難や課題を乗り越える一助になればと願ってきました。
 また、私自身が金光教の信心を自らの生き方をもって現し伝える者でありたいと、心に期して取り組んだのです。
 その思いは、教会でご用する今日も変わることなく、私の信心の基盤となっています。
メディア 文字 金光新聞 信心真話 

投稿日時:2011/07/27 09:47:36.603 GMT+9



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