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生神金光大神大祭をお迎えして ―「神人の道」の顕現を願って―

金光教報 『天地』 10月号巻頭言

 今年も実りの秋を迎え、生神金光大神大祭が、教主金光様ご祭主のもと、十月二日、四日、七日、十日の四回にわたり本部広前で執り行われ、そのごひれいを頂いて各地のお広前で仕えられる。
 教祖様は、「人間その他万物は、天地間の空気を吸うて、みな生きておる。百姓の人は、お土地へ万物を植えつけ耕作する。そのうえは、天地まかせである。『天地金乃神と氏子の間柄のことを、金光大神、参って来る氏子に話して聞かせよ』とお伝えくだされたので、このように話をしておるのである」と教えられている。
 ここで神様が伝えられた「天地金乃神と氏子の間柄のこと」とは、前半のみ教えにあるように、人間はじめ万物が、天地のお働き、親神様のお徳のなかに生かされているという道理に基づく神人の間柄のことである。それは、「疑いを放れて広き真の大道を開き見よ。わが身は神徳の中に生かされてあり」とのみ教えにも重なるものであり、神様は、その間柄に、人間一人ひとりが目覚め、自覚していくことを願われているのである。
 そして、このことを道のおかげの自覚の第一とすれば、第二には、「わが子のかわいさを知りて、神の氏子を守りくださることを悟れよ」と教えられているように、「神の氏子」とのご慈愛をもって教祖生神金光大神様を差し向けられ、その取次の働きをもって各人を救い助けようとなさっておられる、天地金乃神様のお働きを頂いて助かってきたお互いであるというおかげの自覚が、神様から求められているといえよう。
 基本方針の副題は、このような第一、第二のおかげの自覚をもとに、その自覚を深めつつ信心生活を進めていくところに、「神人の道」が開かれるということでもある。

 ある先覚のもとで修行してい先師が、二月の厳寒中、師の居間を訪ねてみると、夜の十一時を過ぎているのに、師は机の前に端座して瞑目(めいもく)しておられた。声をかけることもできず、その場は静かに引き下がったが、翌晩も、さらに翌晩も、師は端座瞑目されていた。
 そこで、奥様にお尋ねしてみると、「この頃は毎晩、ああしてござる」とのことであった。ある夜、湯殿で師の背中を流しながら、それとなくお伺いしてみると、「親神様は人の命のために、冬は寒をお恵みくださるのに、人々は寒い寒いと不足ばかり言うので、私なりと(私だけでも)おわび申し上げねばなあ」とおっしゃった。そのお言葉に、先師は思わずまぶたが熱くなり、とめどなく涙が流れてしまったと振り返っている。
 また、別の先師が、先覚の教会の大祭参拝すると、師のお話はいつも同じであった。
 何度目かの大祭に参拝した時、師の「私の話は同じ話のように聞こえるかもしれないが、同じ話と思って聞いてもらっては困る。昨日の私と、今日の私は違う。…荒木又右衛門という剣豪は、どうしてあのような名人になれたのか。決して変わったことをしたのではない。毎日、お面、お胴、お小手とやっていても、日々新たな思いで臨むので、あのような名人になったのだ。信心も同じことで、同じ教えでも味わい味わいしていくことが肝要である」とのお言葉に触れ、自身のありようを深く反省させられた。
 その後、この話を、ある教会の初代奥様にお話しすると、「私の父(先覚の一人)も、千遍同じ話を聞かなくては、信者の部類に入れぬ、と申しておりました」と言われたという。
 前者は、「神徳の中に生かされてあり」との先覚の自覚に触れたことを伝えるものであり、後者は、その自覚が、日々求められる信心の実践とともに、繰り返し同じみ教えをわが身わが心に頂き直すことによって培われていたことを伝えるものであろう。
「繰り返す稽古のなかに自ずから生まれ来るなり新しきもの」とは、四代金光様のお歌であるが、先覚たちのおかげの自覚は、そのように繰り返し求められた信心の稽古のなかに深められたものであり、その深まりから、先覚たちの「新しきもの」としてのお取次の内容が生み出されていたのではないかと思われる。
 また、教主金光様は、「縦軸は神様と人、横軸で人と人とがつながっています」と仰せられている。その縦軸とは「天地金乃神と氏子の間柄のこと」であり、それが二人の先師の触れた先覚の生き方として伝えられている。そのことからすれば、そのような縦軸を求めながら、横軸としての人間関係や人間生活に取り組んでいくところに「おかげの事実」が生まれ、神も助かり人も立ち行く「「神人の道」が開かれてくるのではなかろうか。
 生神金光大神大祭をお迎えして、それぞれに道のおかげの自覚を深め、お礼と喜びの信心生活を進め、「神人の道」顕現のお役に立たせていただきたい。

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投稿日時:2011/10/03 10:12:51.492 GMT+9



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