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すべての人が神の氏子【金光新聞】

リーダー失格

 物心ついたころから祖母に連れられて教会参拝していた私は、小学生になると教会のフォーゲルに入隊しました。金光教フォーゲル隊とは、教祖様のみ教えをもとにつくられた四つのフォーゲルモットーに従って、教会に集う青少年の育成に取り組む団体です。入隊して以来、私はさまざまな活動に参加し、学びを深め、お育てを頂いてきました。
 そうした中、私は高校生になると、信仰を持って生きることの大切さに目覚め、教会への日参を始めました。やがて、隊のリーダーになり、子どもたちの指導に当たるようになりました。
 私は毎年夏になると、「すべての人を愛する」という、フォーゲルモットーの意味を問われたある出来事を思い出します。それは、リーダーとなった私が夏のキャンプに参加した時のことでした。

 キャンプ場に着くと、みすぼらしい身なりをしたホームレスの男性がいました。周りに危害を加えるようには見えませんでしたが、参加している子どもたちの安全を考え、その男性にキャンプ場から離れてもらうように頼んでみよう、とリーダー会議で決まりました。
 早速、 数人のリーダーで退去をお願いしに行くと、その男性は開口一番、「フォーゲル。それは、すべての人を愛する、 ではないのですか?」と言うのです。驚いた私がとっさに、「なんでモットーを知っているの?」と聞き返すと、 その男性はかつらを取りながら、「わしや」 と答えるのです。顔をよく見てみると、なんと先輩リーダーの平田先生ではありませんか。これは、リーダーとしての資質を問う平田先生発案の実地テストだったのです。私たち全員、見事にリーダー失格です。

愛に育まれる

 先生は戦争孤児でした。幼少時代、児童養護施設に入っていましたが、職員から冷たい扱いを受け、脱走したといいます。その後、ある家に、養子として引き取られましたが、そこでも冷遇され、いつしか町で有名な非行少年となってしまいました。そんなすさんだ生活を送っていた平田先生でしたが、あることをきっかけに、その町にあった金光教の教会に出入りするようになりました。
 その教会の奥さまは「今日はご飯を炊き過ぎたから食べて帰りなさい」とか、「息子の服のサイズを間違えて買ったから、着てくれない?」と、事有るごとに温かく声を掛けてくれました。
 そんなある日、教会の手金庫が無くなりました。「犯人はあの子に間違いない!」 と、 みんなから平田先生が疑われた時も「そんなことは絶対にない!」と、奥さまは一喝しました。程なく真犯人が見つかり、無実が証明されましたが、平田先生はこの時初めて、人から愛されていることを実感したのです。
 その後、 教会で生活することになった平田先生は、教会の援助も受けながら大学に進学し、就職できました。奥さまが亡くなった時、平田先生は、「奥さまのような金光教教師になりたい」との思いになり、金光教教師となったのでした。

 平田先生が亡くなって5年目の夏を迎え、ホームレスに変装したちゃめっ気たっぷりの平田先生を思い出しています。平田先生に憧れて私も金光教教師となりました。非行少年もホームレスも、そして私も皆、神の氏子です。「すべての人を愛する」心が育つよう、今年も夏のキャンプを元気に開催したいと願っています。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています

(「心に届く信心真話」2017年8月6日号掲載)
メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2018/10/10 16:45:10.380 GMT+9



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