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そう思うならしなさい 【金光新聞】

息子の受難

 今年の春、息子の真(まこと/22歳)は中学校の教師になりました。
 実は真は中学3年生の時、一時不登校になったことがあります。
 当時、真は生徒会長とバスケット部の部長を務めていました。誇らしい思いもありましたが、二つの大役を抱えて自分の限界まで頑張る姿は、今にも壊れそうなひび割れたガラスのようにも見えました。
 そんなある日、担任の先生から「今日、真君とクラスの女の子との間にトラブルがあり、放課後に話し合いをしました」と連絡があったのです。
 しばらくして帰ってきた真は、とても険しい顔をしていました。そして黙って部屋へ入っていき、「わー」 と泣き叫ぶ声と同時に、何度も壁を殴る音が聞こえてきたのです。私は、真が少し落ち着くのを待って事情を聞くと「ある女子が『真君がうざいと言ってくるので怖い』と先生に言ったんだ。『うざい』 なんて一度も言ってないのに。それなのに何で俺が謝らなければいけないんだ。くそ!」と言います。私が「何で言ってないのに謝ったの」と聞くと「先生は黙ったままで何も言わず、部活の試合も近いから、練習に行くためには俺が謝るしかなかった」と泣きながら言います。私は「金光様」と心の中で祈りながら、なだめるのが精いっぱいでした。

 真の取り乱しようにどうしていいのか分からなくなった私は、すぐに教会に参拝しました。そして教会の先生に事情を説明し、「ここまで頑張り続けたので、少し休ませようと思います」とお届けしました。先生は「真君のことは生まれた時からずっと、人や事柄との出合いの上に、いいご縁が頂けるようにとお願いしてきています。だから大丈夫ですよ」と言ってくださいました。
 翌日から真は学校に行かなくなりました。
 真の気持ちは分かりつつも、受験を控え不安になる私は、毎日教会に参拝しました。先生は黙って私の話を聞いて、祈り続けてくださいました。

神様に願い、息子を信じて

 そうする中で、真の心も少しずつ落ち着きはじめ、だんだんと学校のことが気になってきたのでしょう。1週間がたった朝、少しこわばった顔をしながらも
元気に「行ってきます」と学校に行ってくれたのです。私は、家を出る真の背中を祈りながら見送りました。
 しかし、しばらくして玄関の戸が開く音が聞こえ、様子を見に行くと、そこには怖い顔をした真がいます。私が「どうしたの」と尋ねると、真は「これからは、うざいやつにはうざいって言う」と大声で叫びました。私は動揺しながらも心の中で「金光様」と祈っていると、「真がそう思うなら、そうしなさい。責任はお母さんが全部持ってあげるから」という言葉が口を突いて出てきました。そんな自分の言葉に驚きながらも真を見ると、その顔から怒りが消えていくのが分かりました。
 そして、そのまま登校してくれたのです。

 私はすぐに教会へ行き、真が学校に行けたお礼と、友達の心を傷つけることのないようにお願いしました。
 その日の夕方、真は友達と仲良く過ごせたようで、笑顔で帰ってきました。そしてそれ以後、元気に学校に通うことができたのです。
 私は現在、中学校教師になった真を家から送り出すたびに、あらためて教会でお取次を頂けるありがたさをかみしめています。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています

(「心に届く信心真話」2017年11月26日号掲載)
メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2018/12/27 08:09:07.323 GMT+



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