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人が助かるタイミング【金光新聞】

急な呼び出し

 金光教教師として教会のご用に当たらせて頂いている私(64)は、10年前から民生委員のお役を頂きました。お道のご用と同様に「人が助かるご用にお使いください」という願いの下、 取り組んでいます。数年前の8月の未明、教会に1本の電話がかかってきました。「こんな時間に誰だろう?」と思いつつ電話に出ると、近所に住む高橋さんの家に出動していた救急隊員からで、「すぐ来てほしい」と言うのです。
 高橋さんは、私が担当している96歳の女性です。急いで向かうと、到着するなり、救急隊員が「本人は息子さんにかかりつけの病院に連れていってほしいそうですが、息子さんに連絡がつきません。私たちにできることはないので帰りますけど、このまま放って帰るわけにもいかなくて…」と、私に後のことを頼んで帰っていきました。
 私も息子さんに電話をかけてみましたが、就寝中なのか、やはり出ません。「5時になったらまたかけてみますね」と高橋さんに言うと 「うん、うん」 とうなずき、 「3日前から苦しくなってね。昨夜は眠れなかった。だから今日はどうしても息子に病院へ連れていってもらいたいんや」とのことでした。

 その後、5時になっても連絡はつかず、「どうか電話に出てもらえますように」と神様にお願いし、何度もかけ直してみましたが、全くつながりません。その様子を見て、高橋さんは「あんたも忙しいだろうから帰っていいよ」と言ってくれました。
 家へ帰り、家事を済ませると、ふっと私の心に「もう一度だけかけてみよう」という思いが浮かんできました。そこで、再びお願いしながら電話をかけると、今度はすんなりと息子さんが出られたのです。私が事の次第を伝えると、「遠方なので時間はかかりますが、今日必ず行きます」と言ってくれました。私は早く高橋さんに伝えたくて、すぐに自転車に飛び乗りました。

神様にはつながっていた

 高橋さんの家に着き、中に入ると、高橋さんはベッドに向かって立っていたので、私は「高橋さん」と声を掛
けました。
 ところが、振り返った姿にびっくりしてしまいました。高橋さんは、真っ黒な血を吐き、その血が服や床にもべっとりと付いていたのです。私はすぐさま救急車を呼びました。
 病院で診てもらったところ、「食道炎です。もう心配ありませんよ」とのことでした。点滴を受けていた高橋さんは「あんたがおってくれて良かった。ありがとう」と、とても穏やかな笑顔を向けてくれました。

 今、当時のことを振り返ると、高橋さんの息子さんに電話がつながらなかった時、私は「神様にお願いして電話しているのに、なんで?」と思っていましたが、きっと、その時すでに私の願いは神様に届いていたのかもしれません。もし、早くに息子さんと連絡がついていたら、私はあの時間に高橋さんの家へ向かうことはなかったのですから。
 そのことに気が付くと、「ああ、神様は助けるために本当に良いタイミングで私を高橋さんのもとへ行かせてくださったんだ」 と思え、心からうれしく、ありがたい気持ちになりました。こちらが「うまくいかない」と思っていたことさえも、神様のお働きの中でのことだったと思えたのです。
 「人が助かるご用にお使いください」という私の願い。神様にはちゃんと届いていたのですね。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています。

(「心に届く信心真話」2018年7月22日号掲載)
メディア 金光新聞 信心真話 

投稿日時:2019/08/13 09:00:27.426 GMT+9



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