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生き方の向きを変える

金光教報 「天地」1月号 巻頭言

 皆様、新年おめでとうございます。本年も共々に神様のおかげを頂いてまいりたいと存じます。
 さて、私たちの社会は、地位や名誉、学歴や財産といったものを尊ぶ風潮があります。けれども、金光教の信心では、そのことを認めながらも、その人がどのような生き方をしているかということの方に重きが置かれます。
 ある会社にお勤めの女性が、私が奉仕させていただいている教会に参ってきました。その方は、会社の大きなイベントの責任者に任命され、そのお願いにこられたのです。
 これまでの経緯を話された後、その女性は、「自分は一生懸命に頑張っているのですが、ちぐはぐなことばかりが起きてくるんです」と言われ、「自分を責任ある立場に祭り上げておきながら、上司や部下の協力がない」と、だんだん感情をあらわにし、最後には、「長い間、会社のために尽くしてきたのに、会社の協力が得られないということであれば、この際、会社を辞めようと思うのですが、どうでしょうか」と言われました。
 私は、お話をじっと聞かせてもらいながら、神様に祈りました。すると、互い違いなことばかりが起きてくるというのは、この方が普段から、根本的な考え違いをしているから、土壇場でそうしたことになるのではないかと思ったのです。
 そして私は、このように申し上げました。
 「教会へお参りするというのは、お話を聞いて、自分の生き方を教えに基づく生き方に正していくためです。例えば、私たちはこのようなおかげを頂きたいと願っている。けれども、神様の方は、神様の願いに添った生き方をしてくれと願っておられる。両者の願いがちぐはぐであれば、おかげを頂くことができないんです。
 そうならないためには、教会で聞いたお話を家庭や職場で実践することが大切です。私たちを生かしてくださっている天地のお恵みや、お世話になるものへ心を込めてお礼を申していく生き方は、家を建てる際の基礎工事をしているようなものです。基礎がしっかりしていれば、その上にどんな大きなビルでも建てることができます。
 ところが、自分の都合だけをお願いする、目先のおかげさえ頂けばそれでよい、という「神様を使う」だけの生き方では、基礎ができていませんから、いざ家を建てる時に、柱や瓦が足りない、請け負った業者が仕事を進めてくれないというように、互い違いなことが起こってくるんですよ。
 一方、「神様に使っていただく」という生き方は、私たちの体の中でお働きくださっている神様を現していく生き方です。事が終われば、『ここまでできました』とお礼を申し上げ、始まりには『このようにさせていただきますので、よろしくお願いします』とお願いをする。そうすると、神様がご都合を付けてくださり、思った以上に仕事が展開していくんです。
 もし、あなたが本気で教えに取り組めば、お世話をくださった人をいとおしむ心が生まれてきます。『よく私のような者を会社に置いてくださった』『よく私のような人間についてきてくれた』というように、謙虚な気持ちになり、感謝の心が生まれてくるのです」
  信仰の世界は、「神様を使う生き方」から、「神様に使っていただく生き方」へと、その向きを変えることができます。そのような向きになれば、周囲の理解や協力が得られ、事がスムーズに進んでいくのです。本年も、お互いにそのようなおかげを頂きたいものです。

西川良典・教務総長

投稿日時:2020/01/07 08:06:40.124 GMT+9



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