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家族が幸せになる試練【金光新聞】

この問題を必死になって受けてくれ

 今から10年前のこと。長男の武(当時小3)が泣きながら帰ってきて、「お母さん、大変なことをしてしまった」と言います。訳を聞くと、下校途中にふざけて同級生の章吾君を転ばせてしまい、前歯にひびが入る大けがをさせてしまったというのです。
 すぐに私(当時35)は、章吾君の家に謝りに行ったのですが、ご両親の怒りは大変なもので、謝罪を全く受け入れてもらえませんでした。
 帰宅後、動揺する息子に「わざとじゃないんだから、一生懸命謝ればきっと分かってもらえるよ」と慰めると、武は少し安心し、宿題を始めました。とはいえ、私自身、とても不安でした。
 そんな中で、ふと、漢字の宿題をしている様子を眺めていると、「農家」「神様」「受ける」「ひっ死」という単語が目に留まり、農家であった金光教の教祖様の姿が頭に浮かびました。私は直感的に、神様から「この問題を必死になって受けてくれ!」と、頼まれているように感じたのです。

 翌日、教会に参拝し、先生に昨日の出来事をお届けすると、目を閉じて深くうなずきながら話を聞いてくださいました。そして最後に「この問題は、家族が幸せになるための神様のお働きだと思います。教祖様は『親大切、夫婦仲ように、内輪むつまじゅう』と教えてくださっています。天地日月の心で取り組みましょう。天の心とは思いやりの心、地の心とは寛大な心、日月の心とは誠実な心です」と、お話ししてくださいました。
 振り返ってみると、私たち夫婦はささいなことで、責め合うことがよくありました。そこで夫と話し合い、夫婦が変わるための試練として受け止めようということになり、章吾君の回復のため、毎晩、家族そろって自宅のご神前でご祈念をすることにしました。

神様の励ましを感じながら

 数日後、学校で章吾君のご両親と話し合いになりましたが、ご両親はいまだに怒りが収まらない様子でした。その上、日頃の武の態度を指摘し、登下校の送り迎えを親がすること、1カ月間、外で遊ばせないように、と言われ
ました。厳しい要求だと感じましたが、武の素行に対する指摘は親である私たちの姿への指摘だと受け止め、要求を受けることにしました。
 武は、友達と外で遊ぶのを一生懸命我慢していました。すると、武の友達が家に遊びに来てくれたりと、武自身も、神様の励ましを感じながら日々を過ごしていたようです。そして何より、家族でご祈念を続けていると、今まで気付けなかった神様のおかげについての話ができるようになりました。お礼と喜びが増え、家庭の雰囲気が以前よりもよくなると、問題も好転していきました。

 数カ月後、章吾君のけがが完治し、再び一緒に遊ぶようになりました。章吾君のお母さんも、こちらの反省が伝わったのか、徐々にあいさつを返してくれるようになり、小学校を卒業する頃には、クラス役員だった私に、率先して協力してくれました。
 数年後、章吾君のお母さんが突然、「息子が中学受験に失敗した時、武君が『俺たちと同じ学校に行こう』と励ましてくれたよね。あの時は本当にうれしかった」とお礼を言われ、胸がいっぱいになりました。
 そんな息子たちも、この春から大学生、社会人です。武には、どんなことが起きてきても、神様の働きとして受け止め、幸せの道を歩んでもらいたいと願っています。


※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています

「心に届く信心真話」2020年4月19日号掲載

メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2021/05/20 14:48:12.461 GMT+9



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