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あなたの神さんええ神さんやな 【金光新聞】

金光教なんて知らん

 私(73)は毎日、参拝している教会で境内の掃除をしています。落ち葉を掃きながら「大した信心もしていないのに、こんなにおかげを頂いていいのか」と、ありがたくて、うれし涙がこぼれます。
 私は金光教を熱心に信奉している両親に育てられました。私はあまり熱心ではなかったのですが、結婚が決まった時、母が「あなたには何も持たせてあげられないけれど、信心だけは渡しておくね」と、大工の父が作ってくれた、金光教の神様をお祭りしたお社を持たせてくれました。
 長男と長女を授かり、しばらくしてから新居を建てて、夫の両親と同居することになりました。その新居で母が持たせてくれたお社を仏壇の横に並べようとした時です。義父に「金光教なんて知らん。うちは仏教徒だから祭るのは許さん」と怒鳴られたのです。義母も同調したので、私は金光教だけでなく、両親も否定された気持ちになり、「こんな人たちは好きになれん」と、不安になったものです。

掃除を手伝いたいが

 数年たち、子どもたちの成長に伴い、心配事が増えてきました。ふと子どもの頃に両親に連れられて、教会にお参りしていた時を思い出しました。教会では、お広前のお結界に座る先生に、心配事や神様にお願いしてもらいたいことをお届けしていました。私も教会にお参りして、今の悩みをお届けしたいという思いが強くなってきたのです。
 新居近くの教会の場所は知っていましたが、義理の両親の手前、堂々とお参りできません。しばらくは、買い物途中に教会の外で手を合わすだけで慌てて帰っていました。
 そんなお参りを約1年続けたある日、意を決して教会に入り、お結界に行きました。先生とは初対面でしたが、私の話を真剣に聞いてくださり、ありがたかったです。その後もお参りを続けますが、義父母に気付かれ、機嫌を損ねられてからは、落ち着いて神様に向かえませんでした。
 ある日、先生と信者さんがご神前のお掃除をしていました。月例祭の前日は必ずしているそうでした。お手伝いをしたいものの、義父母の手前、そうもいきません。その気持ちを正直に話すと、先生は「あなたのお掃除のご用は、家のお仏壇をお掃除することですよ」と教えてくださいました。

夫のご先祖も大切に

 先生の教えの通り、教会のお掃除の日には、お仏壇のお掃除をするようになりました。そして、夫の家のご先祖を大切にしようと夫婦で毎月の墓参りも始めました。このことを1年ほど続けると、義父母がお参りを黙認してくれるようになりました。心置きなくお参りができることが、本当にうれしかったです。
 月日がたち、長男の結婚が決まった時、長男が「結婚式を教会で挙げたい」と言いました。この時、義父はもう亡くなっていましたが、反対すると思った義母が賛成してくれたのです。とても良い式になり「あなたがお参りしてる神さんは、 ええ神さんやな」 と言ってくれました。その後、ご本部にも一緒にお参りしてくれるようになりました。
 晩年、義母は寝たきりになり、私が5年ほどお世話をさせてもらいました。苦手だった義母のお世話をさせてもらえたのはありがたいことだったと、今では思えます。
 教会から慌てて帰っていた時から40年以上がたちました。今、長男夫婦が子ども2人を連れて、私たち夫婦と同居しています。両親が私にしてくれたように、長男家族に信心を手渡せることを願いながら、今日も教会で落ち葉を掃かせてもらっています。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています。

「心に届く信心真話」2021年11月28日号掲載

メディア 文字 金光新聞 信心真話 

投稿日時:2022/12/24 10:00:07.670 GMT+9



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