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教務総長 西川 良典 (大阪府・藤井寺教会)

「元日の心」 平成29年ラジオ年頭放送


 皆様、新年あけましておめでとうございます。ともどもに新しい年を迎えることができましたことをありがたいことに存じます。新たな年を迎えますと、清々しく真新しい心地がしてまいります。また、旧年中の起こってきた様々なことを思いながら、今年はどのような年になるのかとあれやこれや思いを巡らせたりもします。
 金光教の教えに、「信心は日々の改まりが第一じゃ。毎日、元日の心で暮らし、日が暮れたら大晦日と思い、夜が明けたら元日と思うて、日々うれしゅう暮らせば、家内に不和はない」とあります。
 「信心は日々の改まりが第一」とありますが、これは何も信心をするものだけの教えではなく、私たちすべての人の暮らしにも当てはまることのように思えます。例えば夫婦の間でのことや、親子の間でのこと、会社や学校での人間関係などに置き換えてみても良いと思います。私たち人間は問題が起こってきますと、どうしても心が乱れて自己中心的な方向に向かってしまいます。この「改まり」とは、自分自身の行動や言動を見つめ直し、心から反省することから生まれてきます。そこから、お世話になっている人や物に対して感謝の心を持って接していく心が生まれてくるのだと思います。皆がそのような心持ちになり、日々取り組むことで不和がなくなっていき、一日一日が大切に過ごせるようになっていくのだと思えるのです。
 ある教会にお参りになる女性のお話を紹介してみます。その方のご主人は、ある製薬会社の営業部にお勤めになっています。数年前のことですが、自分の担当するエリアで、売り上げが次第次第に落ちていき、その結果、上司との人間関係がうまくいかなくなったのです。はじめのうちは、会社へ行くのに腰が重いという感じだったそうですが、ついにはいっそのこと会社を辞めたい、と漏らすまでになり、気持ちが追いつめられていったというのです。
 そういう状況ですから、ご主人の目覚めはたいへん悪い。やっと目が覚めても、体が釈然としないのか、30分近く時間をかけないと、起き上がれないというのです。起きることができても、会社に行こうという意欲がわいてこない。ですから、起きたがらないご主人に奥さんのイライラはつのり、毎朝喧嘩ばかりしているのだそうです。
 そんなご主人の姿を毎日見ていて、奥さんは、「主人に対して、わたしのできることは、一体なんであろうか」という発想に立たれました。その時、以前教会の先生から『目が覚めたら、夜休ませてもらったお布団を丁寧にたたんで、お礼を申しなさい』と言われたことを思い出されたのです。それまで、教えは聞いて知っていたれども、どこまで本気で、お世話になったお布団にお礼が言えていた自分であろうか、と反省をなさいました。
 奥さんは、「わたしが主人になり代わって、お世話になったお布団にお礼を言わせていただこう」と思い立ち、ご主人の分、自分の分と2人分、お布団にお礼をなさるようになりました。
 そのことが何カ月続いたんでしょうか。次第に、ご主人の目覚めがよくなり、自分で起きられるようになったのです。気持ちが充実し、仕事に対する意欲が以前にも増して出て来ました。今ではご主人は、奥さんよりも早く起き、洗面を済ませ、気軽に音楽を楽しみながら読書をし、それから食事をして会社へ行っておられるそうです。奥さんがおっしゃいます。「以前のように、会社に行きたくないというようなことをまったく言わなくなりました。気力が充実し、あのころと同じ人間かと、見まちがえるほどです」と、このように先日お話し下さいました。
 奥さん自身もそれまでは、何かと病気がちであったのが、いつしか心身共に健康なお身体に回復されたとのことでした。
 その女性のお話を聞かせていただきますと、神様のおかげをいただくには、人の立ち行きを願って、教えに沿って暮らしていくことが大切だということに気付かされます。そうした姿勢になれば、生活の中にはっきりとしたおかげが目に見える形で現れてくるのです。
 わたしたちは、人様には、お世話になれば、お礼を言いますが、衣食住一切には、お世話になっているにもかかわらず、なかなかお礼が言えません。
 前教主金光様は、「世話になるすべてに礼を言う心」とみ教え下さっています。天地のお恵みをいただいて生活できていることに気づき、そのことが「ありがたい」と思える心を大切にして欲しいと願われているのです。
 しかし、実際の生活の中では、何か問題が起こればすぐに不平不足の心が生まれてきて、「礼を言う心」どころではなくなってしまいます。そういう状況になっても、少しずつでも手元のところから「お礼を土台」とした感謝の生活になるように、繰り返し取り組んでいくことが、「日々の改まり」につながり、家庭内でも不和のない生活が生まれてくるのだと思います。
 私自身が、この「信心は日々の改まりが第一じゃ。毎日、元日の心で暮らし、日が暮れたら大晦日と思い、夜が明けたら元日と思うて、日々うれしゅう暮らせば、家内に不和はない」という教えを心に刻ませて頂けるようにと願わせてもらっています。
 どうぞ本年も、皆様方にとって、ここからの今、今日を大切にして良い一年となられますように、祈りを込めて、新年のご挨拶といたします。

平成29年 新春  



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