神人あいよかけよの生活運動

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金光教報『天地』 5月号 神人あいよかけよの生活運動


御取次を頂いて神様とつながる

 金光幸一師(ハワイ・ホノルル)が本誌に執筆した原稿を紹介いたします。


日本で突然の危篤状態に
 ハワイ区域では、立教150年のお年柄である2009(平成21)年からご霊地での研修が始まり、近年では毎年、ご霊地研修を行っています。経済、時間、健康のおかげを頂き、この研修に何度も参加しているヒグチさんのお話です。
 2014年は、教祖様ご生誕200年のお年柄でした。この年も10月20日から24日まで、ハワイ区域ご本部研修が開催され、13人の信奉者が参加しました。また、ホノルル教会の親教会の布教記念祭が10月25、26日と仕えられましたので、多くの参加者が研修の後、親教会に参拝されました。
 ヒグチさんはこの時、研修に先立って、奥さん、娘さんと一足先に日本に出発されました。3人ともよく教会参拝をされ、ご用にも積極的な信奉者です。ヒグチさんは当時90歳でした。
 ご本部では光風館に滞在し、ご霊地の聖跡巡拝や洒掃(さいそう)、近隣の教祖様直信の教会を参拝し、教学研究所所長と広前部次長のお話を頂くことになっていました。
 ヒグチさんは日本語も堪能で、日本に行くのに慣れています。旅の後半にご霊地で他のメンバーと合流し、研修に参加する予定でした。また、親教会の記念祭にも参拝するようにしていました。ところが、その研修にも記念祭にも行けないことが起こったのです。
 10月17日、日本のある教会の先生から私の元に、突然電話がありました。「ヒグチさんが倒れて救急車で病院に運ばれ、命も危ない状態らしい」という連絡でした。90歳とはいえ、出発前はとても元気だったにもかかわらず、突然の危篤の電話でした。奥さんや娘さんは、異国の地でホノルルへすぐに連絡することができず、電話番号を知っていたその教会にお届けをし、「ホノルルに連絡してほしい」とお願いされたのでした。
 その日の夜8時ごろ、今度はヒグチファミリーがよく知っている日本のご信者さんから、続報の電話がありました。「山口県の萩のホテルで具合が悪くなり、早朝に救急車で運ばれた。血圧が下がって今も体が痙攣(けいれん)している」という内容で、血圧が上がれば2週間で退院できるかもしれないし、上がらなければ最悪の事態になりうるとのことでした。まずは神様にお届けさせていただきました。そしてホノルルに残っているヒグチさんのお孫さんに連絡を取り、「命が危ないかもしれない」というそのままの内容を伝えるしかありませんでした。
 ヒグチさんは意識が無く、腎臓機能が低下し、血圧が68―32で、人工透析をしなければならないだろうとのことでした。どこの病院に運ばれたのか分かりませんでしたので、萩にある人工透析ができる病院に電話をして場所を確認したいと思いました。
 調べてみると、萩市には人工透析のできる病院がいくつかありました。とにかく順番に電話しようと思っていると、たまたま最初に電話した病院に、ハワイから来ている男性が、先日救急車で運ばれてきたとのことでした。守秘義務があるだろうから教えてもらえないかもしれないと思いましたが、「救急で運ばれたハワイから来た人は、ヒグチさんではないですか」と尋ねると、「そうです」と教えてくれました。
 病院が分かりましたので、今度はインターネットで場所を確認しました。次は金光教職員録で最寄りの教会を探しました。一番近い教会を探していると、なんとヒグチさんが入院している病院のすぐ近くに教会があるではありませんか。「ああ、神様が見守ってくださっている」という思いが湧き出てきました。

離れていてもつながる
 ヒグチさんの奥さんは日に2回、教会に参拝されます。80代ですが、自宅から20分ほど歩いて朝参拝され、夜は車を運転してご祈念に参拝されます。すぐに奥さんにその教会のことを連絡し、参拝するように伝えなければと思いました。しかし、こちらから連絡するすべがありません。
 そこで病院に電話をして、「ヒグチさんの家族が来ていたら話がしたい」とお願いしました。いつも決まった時間に来るようでしたので、その時間に電話をして、翌18日、奥さんと話をすることができました。「まだ血圧が低いので、様子を見て透析をするそうです。どうやら腎機能が悪化しているようで、今は人工呼吸器をつけています」とのことでした。滞在先を聞き、調べておいた病院近くの教会に参拝するように伝えました。
 奥さんと娘さんは、その教会に参拝することができました。本当に病院のすぐ近く、教会長先生は奥さんと同い年の女性の先生で、ほっとしたものがあったようです。すぐに病院が分かったことや、病院のすぐ近くに教会があったこと、ヒグチファミリーと連絡が取れたこと、また、教会長先生と奥さんの小さなつながりに神様のお働きを感じました。奥さんはその教会に日参を始めました。
 その後、娘さんとも話ができ、血圧が上がりはじめ、尿も出るようになり、希望が出てきたようでした。それから毎日、電話でのお届けが始まりました。
 集中治療室に入っていて、2、3日は出ることができないこと、幻覚症状が出ていること、最初にヒグチさんが危険な状態だと知らされた時、奥さんは覚悟をし、葬儀の段取りを始めようとしていたこと、体に水がたまり、特に心臓に水がたまっていることなど。そして、10月21日には、「幻覚症状はありますが、状態が良くなってきて、明日には集中治療室を出ることができます。ご本部と親教会の記念祭に参拝したいです」ということでした。
 奥さんと娘さんは、萩から日帰りでご本部に参拝されました。研修会の参加者に会い、事情を説明することもできました。また、10月25日の親教会記念祭に参拝することもできました。娘さんは仕事もあり、翌日にハワイに帰らなければなりませんでした。ヒグチさんの容体は安定していましたが、両親を残して後ろ髪を引かれる思いだったようです。

お取次を願うところから
 容体が安定してくると、経済的なことが問題になってきます。少しずつよくなってきているとはいえ、いつ退院できるか分かりません。奥さんとしてはヒグチさん1人を残してハワイには帰れず、次第に病院への支払いがかさみ、緊急とはいえ日々の滞在費が大きな負担になります。
 ところが、思わぬところからの助けがありました。入院している病院の事務長さんが、「うちにホームステイしたらどうか」と言ってくださったのです。事務長さんの奥様は海外の方で、英語を話すことができました。ヒグチさんの奥さんも日本語はできるのですが、英語で会話ができるのはありがたかったようです。そのような事務長さん夫妻の親切で、ヒグチさんの奥さんは看病と教会参拝に集中することができました。
 おかげでヒグチさんは日に日に良くなり、リハビリを始めました。そしてついに11月23日、夫婦そろってハワイに帰ってくることができました。32日間の異国の地での入院でした。その後、ハワイでも病院にかかり、医師から「尿が出ないので管を入れ、手術が必要かもしれない」と診断されましたが、ぎりぎりのところでおかげを頂き、手術をせず、尿も出るようになりました。
 ヒグチさんが危篤のなかで、最初、ご縁のある日本の教会に電話でお取次を頂くことができました。そのお取次がホノルル教会まで届いて、そこから病院近くの教会のお広前につながることができました。そして、その教会のお取次と祈りを頂くことができました。つまり、お取次を願うことから、お取次を頂くことができたのです。
 ヒグチさんは命の接ぎ穂を頂かれました。そのおかげの道中で、奥さんと娘さんはさまざまなお繰り合わせを頂き、神様のお働きを感じることができました。日々の電話でのお届けに、おかげを頂いているんだという奥さんと娘さんのお礼と喜びが感じられました。

神様の思いと重なるように
 あれから3年が経ち、ヒグチさんはもうすぐ93歳になります。今も元気に教会に参拝され、教会とハワイ区域の行事にも元気に家族で参加されます。奥さんも変わらず日に2回参拝され、春秋の霊祭や大祭のご用など、おかげを頂いておられます。娘さんも同様で、ご本部研修も願いを立てられ、奥さんと娘さんは昨年、一昨年と続けて参加されました。そして二人で萩までお礼に行かれました。
 あらためて、この2014年のご本部研修での出来事は、日ごろのヒグチさん家族の教会参拝による祈りの蓄積、ご用と信心生活による徳の蓄積、そして日々、また事有るごとに頂いてきたお取次の蓄積があってのことだと思わされました。
 まさかの時には日ごろの信心生活の積み重ねが現れてきます。ホノルル教会の初代教会長・児玉政行先生は、「神様が助けたいという思いと、自分で自分を助けたいという思いが同じ方向を向くことが大切だ」と説かれました。「だから、どちらも助けたいもの同士であり、神様と通じ合い、認め合い、分かり合うことができてくる」と。信心生活とは、自分を助けていく生活、人を助けていく生活、教会の先生を助けていく生活、金光様を助けていく生活、天地の親神様を助けていく生活、つまり、自分も自分以外のすべても助けていくという心が、お取次をとおして湧き上がってくる生活だと教えられました。
 神様を助けたいという祈りには、神様に使われる私にならせていただきたいという願いが立ち現れてきます。ヒグチファミリーが頂いたおかげは、神様の「助けたい」という切なる思いと、家族の「助かりたい」という切なる思いの発露がつながり、お取次に導かれ、神様のお働きが現れてきたのではないでしょうか。そのことを思うと、神様にお使いいただくことを楽しみに、信心生活を進めることの大切さを思わされます。

「ありがたい」があふれる生き方を
 実はヒグチファミリーにとって、この出来事はまだ終わっていません。入院治療費の保険が出ていないのです。日本とハワイでは医療保険に必要な申請書類に違いがあり、ハワイの保険会社に提出する書類を整えるのに時間が掛かっているのです。日本語の書類はすべて英語にしなければなりませんが、幸いあと一つ書類がそろえば調うようです。しかし、これは「おかげを頂いたことを忘れるなよ」という神様のメッセージだと思いました。
 荻原須喜さんの伝えが心に響いてきます。
 「今まで長う痛うてつらかったことと、今おかげを受けてありがたいことと、その二つを忘れなよう。その二つを忘れさえせにゃ、その方の病気は二度と起こらぬぞよう」「人が痛いと言うて来たら、自分のつらかった時のことと、おかげを受けてありがたい時のことを思い出して、神に頼んでやれ。われはもう治ったから人のことは知らんというような心を出すと、またこの病気が起こるぞ」「今の心でのう、おかげを受けていけば、病気が起こらぬばかりじゃない。子孫の末までおかげを受けられるぞ」と、み教えくださっています。
 10年前、ハワイ布教80年記念カンファレンスに、特別に金光様の英語のビデオメッセージを頂くことができました。そのインタビューの最後に、「金光様の夢を教えていただけないでしょうか」というお尋ねがありました。畏れ多いことですが、その時の金光様のお言葉を私なりに日本語に訳すと、「三代金光様と四代金光様は本部広前で結界取次を休むことなく続けられ、日々、多くの人たちの助かりを祈られました。私の切なる願いは、できるだけ多くの方が、教祖様のご信心を稽古し、そして神様とつながることです。すべての人類の助かりの世界の実現が私の夢です」と頂きました。これは「神人の道」のことを仰っているのだと思います。
 教祖様のように神様から信頼していただく私たちになることが大切ですが、その鍵は日々の信心生活にあります。本部広前、また本部広前につながる各地のお広前の生神金光大神取次をしっかり頂く私にならせていただきたい。神様が立ち現れ、神様につながり、神様の日々のお働きをあらためて感じ、そのことに感動し、しみじみ「ありがたいなあ」という思いがあふれ出る生き方ができる私にならせていただきたい。それが神心となって、人を祈り助け導くことに、さらには「神人の道」へ続く道筋となっていくことをイメージしながら、日々の信心生活を大切にさせていただきたいと思います。

(2017/5)

   



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