今日世界であらわになっている不安や暴力といった様々な問題は、私たちに命のありがたさや平和の尊さを考えさせます。このような時代の閉塞感に収縮するのではなく、棟方志功の躍動し生命力あふれる作品を通して、ご覧いただいた方に明るく元気な気持ちをという願いを込め、収蔵庫企画展「生気と躍動の墨(ぼく) - 棟方志功」を開催します。
棟方は存在感あふれる女性像や宗教的な表現を独自の世界観で表現した版画家として知られていますが、書画も能くしたことで知られ、多くの作品を残しています。棟方の肉筆作品は、書法や画法にこだわらない、大胆で力強い筆遣いから生み出され、それらはまるで命を吹き込まれたかのように躍動し、生気を感じさせるものです。
本展は金光図書館が所蔵する書や墨画の作品を中心に、棟方と金光との関わりを示す資料や作品も合わせて展観します。
青森県で鍛冶屋を営む父・幸吉、母・さだの三男に生まれる。尋常小学校卒業後、家業を手伝う。17歳から青森地裁の給仕として働きながら写生や油絵に励む。対象13年、上京し油絵を続けるが、やがて版画に魅力を感じ、制作を始める。昭和11年、自身の作品が日本民藝間に買い上げられたのをきっかけに、民藝運動の主唱者・柳宗悦と出会い交流を深める。以後、柳や浜田庄司、河井寛次郎といった民藝運動の作家たちの影響を受けながら、宗教や文学、故郷への想いを主題に、生命力溢れる装飾性豊かな作品を生み出した。
昭和13年、第2回新文展で官展市場初めて版画で特選を受賞。昭和30年、サンパウロ・ビエンナーレ、昭和31年、ヴェネチア・ビンナーレでそれぞれ最高賞と大賞を受賞。昭和44年、青森市発の名誉市民。昭和45年、文化勲章受章。
金光図書館では、昭和29年に「棟方志功倭絵及び木版画展」と「棟方志功を囲む座談会」を開催している。
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