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教務総長 岩﨑 道與(静岡県・静岡教会)

「いのちを元気に」 令和3年ラジオ年頭放送



 皆様、あけましておめでとうございます。
 昨年は新型コロナウイルス感染症の影響がいろいろな形で現れました。そうした中でも、このように新しい年を迎えられたことを、まずはお慶び申し上げます。
 そして今年もいろいろなことが起こってくるでしょう。信心とは、起こってくる事柄を受け止める構えを作ることでもあります。
 大きな病気が見付かった方が、初めて私の奉仕する教会へ参拝されました。その方は、さらに詳しい検査を受け、その結果で手術の方法が決まることを話してくれました。そこで、私は次のような話をしました。
 あなたのお話の中身はよく分かりました。こうして早く病気が見付かったことを、まずは神様にお礼を申し上げましょう。その上で、万全な体調で手術が受けられるようにお願いさせていただきましょう。
 ところで、神様にお願いした上での手術ではあっても、その治療はお医者さんがすること。せっかくですから、私はあなたにもう一つの治療を受けてもらいたいんです。それは神様にしてもらう治療です。これから信心の大切な話をしますから、よく聞いてくださいね。
 神様にしてもらう治療とは、「いのち」を治してもらう治療です。心や体の病気、お金や人間関係のトラブルなど、私たちが出遭ういろいろな問題は、地面から生えてきた草のようなものです。問題という草が生えてくると、皆さんはその草を刈り取ろうとします。でも、草は根を抜かないと、またすぐに生えてきます。
 この病気も、あなたの人生という道の上に生えてきた草かも知れません。それを刈り取ることはお医者さんがしてくれます。でも、根が残ったままでは、次の草が生えてきます。それは、また病気という草かもしれませんし、お金や人間関係の問題という草かもしれません。だからこそ、あなたにはこの機会に問題の根を抜いてもらいたいんです。
 病気を知らされた時、「何で私が」と思ったかもしれません。でもね、信心で見ていくと、そこにはちゃんとした理由があるんです。問題の根が見えてくるんです。
 それじゃあ、その理由は何か。それは「いのちを大切にしてきたかどうか」です。ただ、それは、体を酷使したり、暴飲暴食を重ねてきたと言っているのではありませんよ。
 私が言う「いのち」というのは、ひらがなで書く「いのち」です。私たちは親の「いのち」を受け継いで生まれてきました。これは遺伝ということだけではなく、親の思いや人生、家の歴史などもみんな「いのち」に溶け込んでいます。そして、親もまた、そのまた親の「いのち」を受け継いでいます。こうして受け継いできた「いのち」の流れに目を向けると、自分の思いを超えた、大きなお働きを感じると思います。ああ、「いのち」って授けられたものなんだなあって。どうですか。
 その方は大きくうなずきました。
 じゃあ、そうして授けられた「いのち」にどう向き合ってきたのでしょうか。健康に気を使うことはあっても、「いのち」に気を配り、大切にしてきたことがありましたか。つながり授けられている「いのち」に目を向けず、感謝をせずにいたら、「いのち」が衰えてしまいます。だからこそ、今回の病気をきっかけに、それこそ「いのち」という、あなた自身の根っこを大切にしてもらいたいのです。
 ではどうすることが「いのち」を大切にすることになるのか。
 「いのち」を大切にするには、まずは朝起きたら、新しい今日の「いのち」を頂いたことにお礼を申し上げる。そして、夜寝る前に、その「いのち」を一日差し支えなく運ばせていただけたことにお礼を申し上げる。このことをしてもらいたいのです。
 その次にしてもらいたいことは、「いのち」を支えるものにお礼をすることです。それは何か。食べ物飲み物と、大小便です。あなたの体に入って来るものと出て行くものにお礼を申し上げてもらいたいんです。何かを飲み食いする時、それそのものと、それを育てたお働きにお礼をする。それと、大小便が出た時に、体の悪い物も一緒に外に出してくれたお働きにお礼をする。
 こうして、手術までの間に、朝晩の「いのち」のお礼と、「いのち」を支えるお働きへのお礼ができていけば、あなたの「いのち」はどんどん元気になっていきます。そうなれば、お医者さんの治療も楽になり、手術は成功するでしょう。
 その上で、私からあなたにお願いしたいことがあります。ここまでのお話は、金光教の教祖様の教えを元にしたお話です。ですから、今までの私のお話に納得をして、それならいのちを大切にしていこうと思ってくださったなら、ぜひとも金光教の教祖様が出会った神様に心を向けて取り組んでもらいたいんです。
 その神様は「天地金乃神様」という神様で、私たちは「いのち」の親、「いのち」の大元と頂いています。この天地金乃神様に心を向け、天地金乃神様というお名前をお唱えして、「いのち」へのお礼をしていってもらいたいのです。どうでしょうか。
 この方は、「はい」と答えました。
 それなら、どうぞこれからは「いのち」を大切にしていって、神様から問題の根を抜いてもらいましょう。
 こうして「いのち」へのお礼を重ねたこの方の手術は無事成功しました。
 皆さんも、今年一年、「いのち」を大切にして、「いのち」を元気にしていっていただきたいと思います。

令和3年新春



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