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見守ることは祈ること【金光新聞】

「どうしてうちはこうなの」

 今から3年ほど前のこと、光子さん(54)の長女で高校生になったばかりの望さんが不登校になりました。
 望さんは、服飾デザイン関係の高校に見事合格しました。本人が強く希望していた進路だっただけに、その喜びはひとしおでした。
 ところが、学校へ通い始めて間もなく、望さんはクラスの雰囲気になじめないことに加えて、母一人の収入で経済的にも恵まれていないことなどから、「どうしてうちはこうなの」と、光子さんへ不満を訴えるようになり、学校へ行かなくなってしまったのでした。
 光子さんは、夫と離婚後、女手一つで懸命に三人の娘さんを育ててきました。それだけに、光子さんの動揺も大きく、学校から勧められた保健所のカウンセラーに相談することにしました。

 カウンセラーからは適応障害(ストレスが原因で、頭痛や吐き気などの身体的症状を訴え、社会生活ができなくなる障害)と診断され、「今は、お母さんが黙って見守ってあげることが大切です」と、助言されたのでした。
 その後も、望さんは登校時間になると腹痛を訴え、布団から出ようとしない毎日が続きました。その姿に、光子さんはつい、「どうして学校へ行かないの?」と聞かずにはいられなかったのでした。
 光子さん自身も精神的にまいっていたのでしょう。ある日、教会へ参拝して、「このままでは進級できません。通信制の学校に移らせようと思います」とまで口にするようになったのです。
 教会の先生は光子さんに、「黙って見守るといっても、簡単にできることではありませんよね。そこを神様にお願いしてさせてもらいましょう。見守ることは祈るということなんですよ」と語り掛けました。光子さんは、少しの間沈黙し、やがて、「それでは、私が娘のことを黙って見守れるように祈ってください」と願ったのです。

つらいのは私だけじゃない

 それからというもの、光子さんは、教会に参拝して娘のことを祈り、仕事で教会へ参拝できない日は、電話でのお届けを続けました。
 望さんは、学校には行けないものの、アルバイトには通っていました。光子さんはふと、そのアルバイト先をのぞいてみようと思いました。
 そこで見たものは、笑顔で一生懸命に働く望さんでした。光子さんは、その姿に、あらためてわが子を信じていこうと、思いを強く持ち直したのです。
 わが子をありのままに受け入れようと努める光子さんの思いが、望さんに通じていったのでしょう。望さんは少しずつ学校へ通い始めるようになり、クラスの友だちとも打ち解けていきました。そして、互いの悩みを語り合ううちに、それぞれに問題を抱えていることを知りました。やがて、「つらいのは私だけじゃないの」と、光子さんに友達や学校での出来事を語ってくれるようになっていったのです。

 また、学園祭では、クラスの中心となってファッションショーの開催に活躍しました。そして今春、望さんは専門学校に特待進学しました。
 この一連の出来事を通して、光子さん親子はつらさや苦しみを分かち合いながら、祈り合い助け合っていく生き方へと変わっていきました。これから先、どのような出来事と出合うか分かりませんが、家族が思い合い、祈り合っていけば、きっとおかげになっていくはずです。
メディア 文字 

投稿日時:2010/06/21 14:29:15.834 GMT+9



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