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人が助かる取次の働き【金光新聞】

最近何かしら不安なのです

 今年6月、私は教師褒賞(多年にわたる教団活動への功労をねぎらうもの)を頂きました。その時、私の脳裏に、教師になる直前の、ある出来事がよみがえってきました。【金光新聞】
 それは40年ほど前のこと、当時、私の在籍する教会は、教会長である父が結核療養所で長年寝たきりの生活を送り、母一人でご用にあたるという大変な状態でした。そんな中で、「自分がお道の教師になれば、母の手助けとなり、何より、父も安心することで病気が回復するのではないか」という思いから、私は高校卒業後、ご霊地(岡山県金光町)にある金光教学院(金光教の教師養成機関)で、一年間の修行生活に入りました。
 その生活も残すところわずかとなったある日。何かと懇意にしてくださっていた近隣の教会の先生がご霊地に参拝されていると聞き、私はその宿泊先を訪ねました。
 修行生活のわずかな合間でしたが、昔から父のように慕う先生との楽しい語らいに、ほっとしたのでしょう。私は、「この先、自分にお道の教師としてのご用が本当に務まるのだろうかと、最近何かしら不安なのです」と、心の内をもらしました。
 
 すると、先生は次のように私に問いかけられたのです。
 「君は、金光教の『先生』という存在をどのように受け止めているのかな」
 私はその問いに、どう答えてよいのか分かりませんでした。思わず、「小学生のとき、『先生とは先に生まれると書く』と、学校で習いました」と、苦し紛れに口にすると、「では、教会ではどうだろう。君より後に生まれた人が何人いるかな」と、さらに問い掛けられたのです。私はまったく言葉に窮しました。
 確かに先生の問い掛けのとおり、教会では、私より年上の信者さんがほとんどです。その教会で、人助けや信心への情熱ではなく、父のためにと修行を始めた私に、果たして教えを語る資格があるのかと。その時、私はハッとさせられました。

君も私と一緒に求めてみないか

 実は、それこそが私の不安の正体だったのです。私は先生からの問いに答えようと、自分の心の中を探るうちに、自分でも判然としなかった、いや、あえて触れずにきた本音を引き出されていたのでした。
 私は、そのことを正直に打ち明けました。先生は大きくうなずくと、目を細めて優しい表情で、次のように話してくださいました。
 「私はなあ、金光教の先生とは、人より『先』に『生きる』ことを求めている人だと受け止めているんだ。どのように日常を過ごせば、神様の氏子として、教祖様が教えてくださった信心にかなう生き方となるのかと、常に自分に問い掛け、心を改めることを、人より先に求め続けることが、金光教の先生の修行だと思う。だから、私は今も、努力させていただいておるんじゃが、どうだろうかな。君も私と一緒に求めてみないか」
 
 私は、その言葉に救われた気がしました。先生は対話を通して、人が助かる取次の働きというものを、私に体験させてくれたのです。
 思えば、私が今日まで教師としての務めを続けることができたのは、この時の体験があったからだと思います。
 先生は、すでにお亡くなりになり、私は褒賞を頂く年齢になりましたが、あの時の教えは、今も私の中に生き続け、折々に私の信仰姿勢を正してくれます。 
メディア 文字 

投稿日時:2010/08/02 09:07:04.057 GMT+9



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