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平成二十三年の新春を迎えて ─「信行期間」への取り組み─

金光教報 『天地』 1月号巻頭言

 天地のお働きのなかで、今月今日の命と生活を頂き、共々に新しい年を迎えさせていただいたことは、誠にありがたいことである。
 この一月の「信行期間」は、教祖様以来、歴代金光様が現してくだされている生神金光大神取次のお働きのなかで、それぞれにこうむってきた「この道のおかげの自覚」を新たにし、「神人の道」の実現を目指して、信心の稽古を進めてまいりたい。とりわけ、この三月をもってご神勤満二十年をお迎えになる現教主金光様のお徳とご内容を、あらためて私たち一人ひとりがわが身に頂いてまいりたいと願わせられている。
 そのことに関わって、かつて昭和三十九年の寒期間、当時の高橋正雄教監が、本部広前における朝の教話として、三十日間にわたって語られた教話記録『前教主金光様をいただく』が残されている。
 そこでは、前年にご神勤七十年をもってお隠れになった三代金光様のあられようやお言葉をもとに、この道のお取次とは何か、お取次をなさるとはどういうことであったのか、また、お取次を頂くとはどういうことなのか、人間が生きるとはどういうことなのかなど、この道の根幹に関わる点々が深く掘り下げて求められている。
 拝読するに、この道の「頂く」ということの奥深さや豊かさが響いてきて、わが身のあり方やご用姿勢が問われてくるようである。
 その一例を紹介してみると、昭和三十四年六月、アメリカのシカゴ大学の宗教学者・ビーバー博士が、本部を訪問され、お結界に進まれて、「日本の人々だけではなく、世界中の人々に対して、何かメッセージがありましたら聞かせてください」と願われ、三代金光様は、「いろいろ願いがありますから、そのご都合を頂かれますよう、お願いいたしております」とおっしゃったという。高橋教監は、このお言葉を頂かれて、概略、次のようなお話をされている。
 <今日、世界の平和が不安である。戦争が起きてはならぬが、どうしたらよいか。世界の人々の生活に不平等があり、どうしたら不平等がなくなるか。また、人種差別があり、それが大きな問題になっている。ビーバー博士は、そういう問題に対する世界中の人々へのメッセージを願われたのだが、前教主金光様は、ご自分のなさっておられることをおっしゃったのである。
 そもそも世界中の人、誰にしても、いろいろ願いがある。生きておるということは、願いがあるということである。ところが願いというのは、必ずしも叶(かな)うとは限らない。叶わぬからといって、願いはやめられぬ。やめられぬから、その願いが問題を起こす。問題があるから願うのだけれども、その願いがまた問題を起こす。そういう願いが、みんなにいろいろあるから、それぞれに「ご都合を頂かれますよう、お願いいたしております」とおっしゃったのである。それは、教祖様以来のことであり、ご自身が何十年来、なしとおされていることをおっしゃったのである。それで、そのお言葉を承られたビーバー博士は、「どうもはっきりいたしまして、大変ありがとうございました」と言われた。
 この前教主金光様のお言葉が、ただ心のなかで願っているとか、言葉のうえで願っているというだけであったら、これほどのことがここにできているはずがない。前教主金光様は、ご自身の生き方をもって願っておられる。ご自分の生きられ方を、御取次を頂いておられる。そういう願いのあらせられ方が、われわれの出遭っている難儀や、われわれの生き方のところに働きを及ぼしてくる。それが御取次の働きなのではあるまいか。>
 以上がお話の概要であるが、ここで語られようとしているのは、本部広前に具現されている生神金光大神取次のお姿そのものであろう。三代金光様は、日々、ご自身の生きられ方に御取次を頂かれ、その生き方をもって、さまざまな願いを受けられ、そのうえでご祈念、御取次を進められている。その尊いご神勤のあられようが、自ずとわが身に食い込んでくるということであろう。
 ちなみに、ある先輩教師は、このお話を聞かれて、今現在の高校入試をめぐるわが子と妻との葛藤のなかに、「いろいろ願いがございますから、そのご都合を頂かれますよう、お願いいたしております」という三代金光様のご祈念を頂かせてもらいたいという願いが生まれてきたと話されている。
 もとより、このような三代金光様のご祈念、御取次は、さらに四代金光様、現教主金光様へと受け継ぎ現されており、そのお働きのなかに、今日のおかげを頂いているお互いである。そのようなお互いとして、今一度、「頂く」という言葉に込められた先輩諸師のみ心に思いをいたし、このたびの「信行期間」では、それぞれに教主金光様ご神勤二十年のお徳とご内容を頂く信心の稽古に取り組ませていただきたい。 

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投稿日時:2011/01/07 10:40:15.057 GMT+9



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