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心に兆(きざ)した「お礼が先」 【金光新聞】

神様にお願いしていたのに、どうして…

 道雄さんの長男・和義君は高校時代、野球部に属して甲子園を目指しました。
 1年生の夏休みのことでした。練習中にノックのボールが鼻を直撃し、鼻骨を折ってしまったのです。この時は、幸いにも手術をせずに治癒しましたが、医師からは「またボールが鼻に当たると大変なことになるから、くれぐれも注意するように」と厳命されました。
 それから1年後、道雄さんが保護者会で学校に出ていた時、監督が教室に駆け込んできて、「また当たりました」と言いました。先輩のノック打球を、再び鼻に受けてしまったのです。「なぜ2回も、それも同じところに…」。道雄さんはグラウンドへと急ぎました。

 グラウンドの中央付近には円陣ができていて、その中心で和義君はあおむけになって、鼻を両手で覆うようにして苦しんでいました。見ると、鼻からは血が流れ出ていました。
「大丈夫か」と話し掛けると、軽くうなずきましたが言葉は出ませんでした。その後、和義君は救急車で病院へと運ばれました。
 この時は、手術しなければなりませんでした。手術を無事に終えた和義君と道雄さんは、2週間後に行われる夏合宿のことが気になっていました。これに参加できない場合は、レギュラーは絶望的になるからです。
 和義君は退院後、合宿にどうしても参加したいと望み、道雄さんも同意の上で強行参加しました。しかし、急に練習を再開したことから、逆に肩を痛めてしまったのです。「これでもうレギュラーは無理だ」。道雄さんは落ち込みました。これまで息子さんのことをずっと神様に祈ってきただけに、度重なるけがに、「毎日、神様にお願いしていたのに、どうして…」と、もんもんとした気持ちが湧き起こり、真剣な祈りになりませんでした。

「お礼が先」

 合宿が終わった後も、和義君の体は思うように動かず、練習試合のスタメンからもだんだんと外されるようになりました。そんな中でも、和義君は愚痴も言わずに練習に励みました。道雄さんはその姿をそばで見守りながら、自分がこんなことではいけないと反省し、あらためて神様に向かい祈りました。
 すると、「お礼が先」という前教主金光様の教えが、ふと心に兆しました。「鼻を折ったことで、壊れかけている肩を休ませることができた。何よりも、同じ所を骨折しながら後遺症もなく、野球ができているではないか」。道雄さんはお礼をないがしろにしていたことを反省し、和義君に「これまでのお礼と、一連の出来事が次につながるよう、神様にお願いし、頑張ろう」といって励ましました。
 実は和義君も、ボールが怖くてたまらなかったそうです。また、レギュラーになりたいと焦る日々の中で、ある時ふと、好きな野球のできることが本当にありがたく思えてきて、レギュラーへのこだわりがすっと消えていったと話しました。

 次の年、完全復帰した和義君は、誰の目にも成長した跡がうかがえました。そして、高校生最後の公式戦では、甲子園には届きませんでしたが、2番遊撃手として大活躍することができました。
 一連の出来事は、和義君と道雄さんにとって、これからの人生を歩む上での手応えを与えてくれたに違いありません。 

投稿日時:2011/07/10 11:56:51.658 GMT+9



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