title.jpg

HOME › 神人あいよかけよの生活運動、世界へ!

神人あいよかけよの生活運動、世界へ!

金光教報 『天地』 8月号巻頭言

 「神人あいよかけよの生活運動」の「願い」について、今、世界の各地で翻訳作業が進められている。「運動」は、社会との応答関係があってはじめて力を持つものであるが、文化背景の違う海外の布教現場では、日本で生まれた信心生活運動の文言がそのまま通用するとは限らない。
 ある地域では現在、金光教国際センターが翻訳した文案をもとに、教師と信徒が議論を重ね、その地域の特性と信仰伝統に適した「願い」を生み出そうとしている。その議論の場は、いわば「運動」推進準備会議であり、かつ、信心共励の場でもある。会議に参加する人たちが、議論をとおして本教信仰の本質を学ぶことになっていることは、ありがたいことである。
 翻訳作業を進めてみて、明らかになったことの一つに、「運動」の「願い」には多様な信仰実践を生み出す可能性が秘められているということがある。例えば、取次のあり方にしても、教会のない地域の信奉者からは、当然、「私たちはどのように『御取次を願い 頂』けばよいのか?」という疑問が投げかけられる。「インターネットをとおしては取次にならないのか?」「信者同士で取次をしてはいけないのか?」など、疑問をとおして多様な取次のイメージが浮かび上がってくるのである。
 将来的には、それぞれの地に布教拠点たる教会の設立が願われるところであるが、その時までは、地域に根差した「運動」のあり方を模索し、よりいっそう多様で豊かな信仰実践を生み出していく努力が必要となる。このたびの「運動」は、人として尊厳ある生き方を勧めるものであり、世界の人たちによって、今後、新たな試みを含めて「運動」が推進されることで、信奉者めいめいの信心生活がより豊かなものになっていくであろう。
 参考までに、英訳の作業行程について概要を述べてみたい。かっこ内は英訳文を再和訳したものである。
 英訳に当たっての基本的な方針は、①みんなが一緒に取り組んでいくものとして表現する、②人をいざなうような表現をとる、③未信奉者にも分かるように表現する、④分かりやすい言葉を使う、というものであった。外国語に翻訳する際には、行間を読んでもらうことは期待せず、必要な言葉は可能な限り挿入し、伝えるべきことを明らかにする必要がある。また、対象や目的によって意図的に意味を付与するために、原文にはない言葉も適宜挿入する。

The Faith Movement: Let Us Live a Mutually Fulfilled Life With Kami
(信心運動:神とあいよかけよの生活をしよう)
Let us seek and receive Kami’s Words through Mediation
(取次をとおして、神の言葉を求め、受け取ろう)
Let us awaken to Kami’s blessings & Unconditional Love
(神のおかげと無条件の愛に気づこう)
Let us live a joyful life of appreciation
(喜びに満ちた感謝の生活をしよう)
Let us pray for, help and guide one another, with a compassionate heart of Kami
(神の思いやりの心を持って、互いに祈り 助け 導こう)
Let us truly live the Way of Kami & all people - in Mutual Fulfillment
(あいよかけよのなかで、神人の道を生きよう)

 例えば1行目は、取次を求めるというだけでは何をするかが理解できないので、取次を頂くということは、「神の理解」を受け取ることであるということから、「取次をとおして、神の言葉を求め、受け取ろう」という訳にした。2行目は、「神のおかげ」の内容として、blessings(おかげ)にあえてUnconditional Love(無条件の愛)という言葉を添えることで、おかげの背後にある神愛を受け取っていくことをメッセージに加えた。4行目の「神心となって」は、compassionate(共感的な、思いやりの)を加え、神心の内容を分かりやすくした。5行目の「神人の道」はキーフレーズであるので、キーフレーズとしての翻訳をしなければならない。そこで、the Way of Kami & all people(神とすべての人の道)を採用した。そして、意味を明確にするために、「あいよかけよ」の内容を現すin Mutual Fulfillment(相互に成就し合いながら)を付けた。以上のように、メッセージを明確にし、内容を理解しやすいものにしている。
 この英訳は、国際センターによる現時点での文案であり、これを参考にしてそれぞれの地域にふさわしい翻訳がなされ、ご神願成就に向かう信心生活運動が豊かに生み出されることが願われる。「運動」の国際化をとおして、「神人あいよかけよ」で立ち行く「神人の道」が、どのように世界に現されてくるか楽しみである。





メディア 文字 金光教報『天地』 

投稿日時:2012/08/17 11:44:35.370 GMT+9



このページの先頭へ