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秋季霊祭をお迎えして

金光教報 「天地」 9月号巻頭言

 秋分の日を迎える9月となり、本部広前をはじめ各地の教会で霊祭が仕えられる。
 教祖様は、御霊を祀(まつ)ることの大切さをいろいろに教えておられる。
 たとえば、「分家をすると、うちにはまつる御霊がないと10人のうち9人まで言うが、それは大きな間違いである。人にはみな先祖というものがある。押し入れのはしにでも、先祖様と言ってまつらなければならない」と諭され、「木のもとへ肥料をやれば、枝振りまで栄える。先祖や親を大切にすれば繁盛させてくださる」と、先祖を祀り、大切にすることが自分の助かりと深く関わっていることをお示しになっている。
 また、「『先祖からのご無礼がありましょうとも許してくださいませ。日々信心いたしますから、信心の徳をもって、どのようなめぐりもお取り払いくださいませ』と言って願うがよい」と。先祖につながる私たちの命には、意識するしないにかかわらず、「前々の巡り合わせで難を受け」と神様が仰せられる、人間理解を超えた世界の広がりと長い歴史の流れが深く横たわっており、だからこそ、その命の流れのなかでのご無礼、お粗末、不行き届きを「先祖からのご無礼」として受け止め、「日々信心」をし、その「徳」をもって、「どのようなめぐりもお取り払いくださいませ」と願うがよいと教えられている。
 さらには、「ご信心しておくがよい。ご信心してあなたがおかげを受けると、あなただけではない、後々の孫、ひ孫の末の末までおかげを受けるし、また、ご先祖ご先祖の精霊(しょうりょう)御霊までが、あなたがご信心して、おかげを受けてくれるからと、安心してお浮かびなさる」と。この道の信心をしておかげを受けると、自分だけではなく、子孫の末までおかげを受けることになり、先祖の精霊御霊も助かることになると説き諭されている。
 ある直信は金光四神様から、「幽世のことも知って学んでおかねば、信心は分からない云々」とのお言葉を頂かれ、しばらくしたある日、四神様の「ついて来い」とのお言葉に従って歩いていかれると、頭を押さえて泣いている人や、「痛い痛い」と腹を抱えてうずくまっている人があちこちにいて、「かわいそうに」と思いながら進むと、急に目の前が開け、広い野原が見え、大人も子どもも皆、笑顔で元気に走り回っている。そこに、その直信の亡き母親がおられ、「ここに来る道中、難儀していた者は、生前の徳が足らぬので難儀しているのだ。後に残った者が信心して徳を積み、御霊の神となるように後押ししてやらねばならない」と言われたという。
 この伝承もまた、人間理解を超えた神様の世界、御霊の世界から指し示されたものであるが、子孫の者がこの道の信心をして徳を積むことが、そのまま先祖の御霊の助かりとなることを語り伝えたものと頂けよう。
 そもそも教祖様は、「戌の年さん、お前が来てくれられたで、この家も立ち行くようになり、ありがたし。精霊御礼申しあげ」という先祖による謝意表明の体験をもって、子孫である自身の信心が先祖を助けることになるという経験をされていたのである。
 他方、金光四神様のご理解に、「私だけではとても勤まりませんが、毎夜十二時を過ぎますと、親様が元のとおりお出ましになって、お届けの帳面を繰り返し、3か年の間ご祈念くださいましたので、不徳な私も勤まりました」とあり、亡くなられた後の尊い教祖様のお働きが、親様の信心の徳として伝えられているが、そのような信心の徳は、各教会のご霊神様や各自の先祖の御霊の働きとしても現されていると思われる。
 ある先師によれば、入信初めの頃、思うようにおかげが頂けない日々が数年続いたある日、先師の亡くなった兄と、師匠の師匠となる先生の二柱の御霊様が、神様の前でおわびをしておられる姿に出会い、神様が「当たり前で助けたと思っているのか。無い命であったであろうが」とおっしゃった夢を見た。それによって先師は、なかなかおかげにならないと思っていたこの数年間は、実は無い命を継いでいただく大切な期間であり、しかも自分になり代わり、亡き兄と手続きの親の御霊様が、神様の前に責任を取ってくださっていることを思わせられ、悟らせられたという。
 こうした伝承は、目に見えない世界にあって、私たちの生活が、この道の信心をしてこられた御霊様の徳と働きに大きく支えられていることを示唆するものであろう。
 天地金乃神様は、生神金光大神取次をもって、現世の氏子も幽界の氏子も、共に助けたいと願っておられることをあらためて自覚し、そのことに御礼を申し上げ、共々に「御霊の祭りは大切にせよ」との教祖様のみ心のまま、秋季霊祭をお仕えさせていただきたい。





メディア 文字 金光教報『天地』 

投稿日時:2012/09/14 13:58:18.261 GMT+9



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