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家族に向けた父の思い 【金光新聞】

祈りの変化

 私(72)は、熱心に金光教を信仰する両親の間に、5人きょうだいの長男として生まれました。一番下の妹とは一回り以上年が離れていて、子ども5人が育つ中、それほど余裕ありませんでしたが、生活の全てを教会の先生にお取次頂いていた両親のおかげで、私たちきょうだいは幸せに成長しました。そんな両親の姿を見ていた私は、物心付いたころから、きょうだいたちと少年少女会や青年会、また典楽のご用などの教会活動に参加していました。
 やがて、私は勤め先の同僚とご縁を頂き、結婚の約束をしました。そして、誰にでも気配りのできる気さくな彼女をきっと気に入ってくれると思い、両親に紹介しました。ところが父は「結婚に反対するのです。私は腹立ちを抑えながら教会に参拝し、先生に「父が結婚を認めてくれず、その訳さえ教えてくれません。どうしたらいいでしょうか」と話しました。

 先生は「お父さんにも思うところがあり、簡単に伝えられないのかもしれません。まずは明日から会社帰りに毎日お参りされたらいかがでしょうか」とおっしゃいました。結婚を認めてもらいたいだけなのにと少し不服に思いましたが、私は仕事帰りの疲労に耐えながら日参を始めました。先生はいつもお結界で待っておられ、「ここまで育てて頂いたことを神様にお礼申し、ご両親ときょうだいの健康をお願いさせて頂きましょう」と話してくださいました。 
 最初のうちは先生に願いをぶつけるだけでしたが、教会で静かに祈るうち、冷静に考える余裕が出てきました。私と結婚すれば、両親や中学生の妹を含め、きょうだいと同居することになります。また、金光教のことを知らない彼女がどこまで理解してくれるだろうか、などの不安な気持ちも出てきました。
 しかし、そんな私に先生は「心配は神様に預けて、先を楽しみましょう」と優しく励ましてくださいました。そのようなやりとりが毎日のように続く中で、私の不安は薄らぎ穏やかな気持ちになりました。そして、私たちきょうだいがここまでお育て頂いたのは神様のおかげであり、さらには父が私たちのことを神様に祈ってくれていたからだと思えるようになりました。父へのわだかまりはすっかり解け、感謝の気持ちに変わっていました。そして気付くと、私も父と同じように、家族のことを祈らせてもらうようになっていました。
 

日参の気付き

 それから半年が過ぎたころ、父が「おまえもそろそろ結婚するか」と言葉を掛けてくれました。大喜びで教会に参拝すると、先生は満面の笑みで「この先も、一層信心しておかげを頂きましょう」と喜んでくださいました。結婚後、 妻は私の両親、きょうだいと打ち解け、2人の子どもの母親となり家族みんなを大切にしてくれています。また結婚後すぐに母に付いて教会へ日参するようになり、今では両親と同じように生活の全てにお取次を頂き、数々のおかげを頂いています。そして現在施設で暮らす96歳の母を、教会参拝した後、毎日見舞ってくれています。
 今私は、家族との幸せな生活の中で、結婚に反対した父の思いとは「信心を土台に生きてほしい」ということではなかったのかと思っています。先生に導いてもらいながら取り組んだ毎日の参拝が、そのことに気付かせてくれたのです。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています

(「心に届く信心真話」2018年2月25日号掲載)
メディア 動画 金光新聞 信心真話 

投稿日時:2019/05/29 8:27:23.539 GMT+9



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