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自分を変え運命を許す【金光新聞】

金光教との出合い

 京子さん(71)が金光教と出合ったのは、今から30年ほど前、自暴自棄となり身も心もぼろぼろになってしまった時のことでした。
 幼くして事故で右腕を失った京子さんは、その不遇を恨み、自分の「運命」を受け入れられずにいました。小学生の時には、右腕のことでいじめに遭い、それからも周りからの心ない言動に傷つけられてきました。京子さんは、いつしか自分を守るかのように心を閉ざすようになりました。
 そんな少女時代を過ごした京子さんでしたが、大恋愛を経て結婚し、子どもも授かりました。夫婦でラーメン店を営むようになると早朝から寝る間も惜しんで働き、商売はとても繁盛しました。
 ところが、「これで幸せになれる…」と喜んでいた矢先、夫の浮気が発覚し、離婚することになってしまったのです。
 悔しさのあまり死に物狂いで働きましたが、「自分がこんな目に遭うのは右腕がないからだ」という悲しみと寂しさから逃れるように、毎晩大量のお酒を飲むようになりました。しかし、そんな生活が長続きするはずはありません。心身共にぼろぼろとなり、入院せざるを得なくなったのです。

 つくづく自分の「運命」が許せなくなっていた京子さんの元に、以前仕事でお世話になったことがある北島さんがお見舞いに来ました。
あまりの懐かしさに、京子さんは張り詰めた糸が切れたように、これまでのつらく苦しかった半生をありのままに打ち明けました。北島さんはその話に最後まで耳を傾けた上で、「今のあなたの心が楽になれる所があるから今度一緒に行ってみない?」と誘いました。
 数日後、北島さんが連れていってくれたのは金光教の教会でした。初めて来た場所でしたが、教会の庭を眺めていると、きらきらとした一筋の光が心に差し込んでくるように感じたといいます。
以来、京子さんは、時折参拝するようになり、徐々に心の安定を取り戻していきました。

神様のつながりだけは

 それから5年ほどたった頃、京子さんは再婚しました。とはいえ、男性不信は簡単にはなくなりません。京子さんは、事あるごとに夫の浮気を疑っては激しく責め、夫婦仲は悪くなる一方でした。
 そんなある日、夫婦げんかの末に家を出た夫が、やけ酒を飲んで乱闘騒ぎを起こしました。ショックのあまり、また自暴自棄になりかけましたが、北島さんや教会の信者さんは、神様とのつながりだけは切れないようにと京子さんを支え続けました。おかげで、京子さんの中に「助かりたい」という心からの願いが生まれ、心機一転教会への日参を始めました。

 ある朝、参拝すると、先生が教話で、「神様や周りの人からむしり取るようなことはせず、自分自身をむしりなさい」と話していました。その話を聞いた途端、「夫を変えようとするのではなく、自分が変わらなければならないんだ」と翻然として気付き、初めて自分自身を見詰め直していくきっかけを頂いたのです。 
 自らの「運命」を許せずに生きてきた京子さんでしたが、自分自身のことを受け入れられた時、「運命」に愛され、神様と周りの人たちに生かされてきたことを実感できました。
 今では夫も信心するようになり、夫婦で教会へお参りしています。けんかをすることはあっても良いことも悪いことも一緒に笑い合って受け止められる幸せを、京子さんはかみしめています。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています

(「心に届く信心真話」2018年6月24日号掲載)

メディア 金光新聞 信心真話 

投稿日時:2019/08/08 09:00:48.789 GMT+9



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