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生活の中に現れる神様【金光新聞】

私の中にしぶる気持ち

 今から38年前のある日のことです。当時、銀行の支店長をしていた夫から電話があり、「今から、部下を数人家に連れていくからお酒の用意をしておいてほしい」と頼まれました。そこで私(当時40)は、ビールと手頃な値段の国産ウイスキーを準備しておきました。
 しばらくすると夫が部下を連れて家に帰ってきました。ビールで乾杯した後、頃合いを見計らってウイスキーを勧めようと水割りの準備をしていると、夫が「それじゃなくて、取って置きのブランデーを出してあげて」と言うのです。
 「若い人たちのために何万円もする高級酒の封を開けるなんてもったいない」と思っていたのですが、夫の言葉を聞いて、ふと、日頃教会の先生がおっしゃっている「目の前に起こってくる成り行きは、あなたの心を磨いてくださる神様のお働きです」という話を思い出しました。そこで私は、思い切ってブランデーの封を開けて水割りを作り、若い人たちにグラスを勧めると、皆さんとても喜んでくれ、上機嫌のうちにお開きとなりました。

 すると、皆さんが帰って5分もたたないうちに、再び玄関のブザーが鳴りました。誰かが忘れ物でもして戻ってきたのかと思い、玄関に行くと、大きな風呂敷包みを持った見知らぬ男性が立っていて、「支店長さんはいらっしゃいますか?」と尋ねられました。その方は、夫の銀行と取引のある病院のスタッフで、院長が押入れを整理していたら洋酒が出てきたので、それを支店長にお届けするようにと頼まれてきたということでした。風呂敷包みを開けると、なんと高級ブランデーが4本出てきたのです。
 私は本当に驚きました。「若い人たちに高級品を出すのはもったいない」と思っていたにもかかわらず、夫の一言で教会の先生の「成り行き」という言葉を思い出し、心を切り替えることができました。そして、直ちに1本の高級ブランデーが4本になるという奇跡のような出来事が起きたのです。私は喜びが込み上げてきて、飛び上がりたいほどうれしくなりました。

神様を身近に感じて

 このブランデーは神様から頂いたものだとしか思えなかった私は、教会の次の月例祭に参拝して、その4本全てを神様にお供えさせて頂こうと決めました。お結界で、事の次第をお話しすると教会の先生は「1本が4本になったこともありがたいけれども、あなたが身近に神様を感じられたことにお礼を申さねばなりませんね」とおっしゃいました。
 私ははっとしました。実は、長く教会に参拝してはいましたが、「困った時にはお願いしよう」という程度で、何となく信心を続けてきました。そんな私が、何げない夫の一言を、いつもとは違う気持ちで受け止められたことで、普段の生活の中に神様の働きを感じていくきっかけを得たのです。神様は、私の手の届かないところにおられるのではなく、生活の中に現れてくださり、私の心を導いてくださるのだということを、あらためて知りました。

 このことがあって以来、不思議なことにいろいろな方から洋酒を頂くようになり、今日まで一度も洋酒を買ったことがありません。棚にある何本もの洋酒のストックを見るたびに、あの時の感動がよみがえります。これからも神様の働きを身近に感じながら、信心生活を進めていきたいと思うのです。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています。

(「心に届く信心真話」2018年7月15日号掲載)

メディア 金光新聞 信心真話 

投稿日時:2019/08/12 21:00:06.270 GMT+9



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