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日々の成長にまずお礼【金光新聞】

どうしたら言葉が出るのだろうか


 和賀子さん(79)は、年を取るほどにひどくなる腰の痛みを抱えて、病院通いの毎日です。絶え間なく続く痛みに、つい愚痴が出てしまう生活を送っていました。【金光新聞】

 彼女にはもう一つ、頭を悩ませていたことがありました。それは、ひ孫の信行君が2歳半を過ぎても、「アー」「ウー」という言葉しか発せないことでした。

 和賀子さんは四世代で同居しています。家族中が心配して病院や保健所に相談に行きましたが、これといった原因は見つかりません。

 「どうしたら言葉が出るのだろうか」。家族であれこれ手を尽くすものの一向に変化の兆しは見えず、次第に無力感さえ覚えるようになり、だんだんと家族の中から笑いが消えていきました。

 和賀子さんは、「必ずしゃべるようになるから」と、家族にも自分にも言い聞かせるものの、「悪い病気にかかっているのではないだろうか」「このまましゃべれなかったら、信行の将来はどうなってしまうのだろうか」と、言い知れぬ不安が脳裏をよぎり、重苦しい毎日でした。

 和賀子さんは教会で、「うちの信行は、冷蔵庫を一人で開けたり閉めたり、机の上の物をひっくり返したりと、いたずらは人一倍です。でも、言葉が出てこないのです。信行と同じくらいの子は、もうしっかりしゃべるし、お利口さんだし、どうしたらよいでしょう」と、涙ながらにその不安な胸の内を、先生に話しました。

神様のお働きにお礼を申す生活

 先生は、「心配なのはよく分かります。でも、信行君をほかの誰かと比べたら、信行君がかわいそうです。たとえ言葉が遅くても、自分で歩くことも、手を動かすこともできるし、お父さんお母さんの顔も覚えて、元気に過ごしているではありませんか。よその子と比べるのではなくて、以前と今の信行君を比べてあげてください。成長させて頂いていることが、たくさんあるではないですか」と応えました。

 和賀子さんは、教会の先生から頂いた言葉を何度もかみ締めながら、信行君と向き合いました。そうした中で、信行君に言葉を出させることばかりを考えている自分の姿が見えてきて、声が出ること自体が当たり前のことではない、という思いが生まれました。

 和賀子さんは次第に、無邪気に遊ぶ信行君のありのままの姿がありがたく思えるようになりました。そして、信行君を育ててくださる神様のお働きにお礼を申す生活へと変わっていったのです。

 そんなある日、和賀子さんが信行君と一緒に車で教会にお参りする途中、通りかかったバスを見て、信行君が突然、今まで発したことのない「バー」という声を出しました。和賀子さんは驚いて、思わず「金光様ありがとうございます」と、心中で叫びました。同時に和賀子さんは、「人間の力だけでは何もできない」ということを、あらためて実感したのです。

 この体験があってから、和賀子さんは愚痴を言いながら通院することがなくなりました。反対に「痛いながらも、ここまでのことができた」と、何事にも自然とお礼が言えるようになり、腰の曲がった体で、ひ孫のお世話をしながら、周囲の人々を元気づける毎日に変わっていきました。

 信行君も小学校へ入学するころには、友達と変わることなく話せるようになり、きょうも元気に遊んでいます。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています。

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メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2008/12/18 09:27:16.589 GMT+9



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