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参拝で心の「鬼」退治を【金光新聞】

「鬼」のような形相になってしまった私

 終日畑仕事をしながら、山下ツユさんは天地の恵みへのお礼と、縁ある人々のことを心中で祈ります。現在94歳のツユさんが、山下の家に嫁いできたのは、もう75年も前のことです。長年、連れ添った夫も既に故人となり、今は長男夫婦と暮らしています。

 ツユさんの実家は代々、金光教の教会に参拝し、ツユさんも幼いころから祖父母に連れられて教会に参拝していました。そんな中で、次第に、「同じ信心をしている家にご縁を頂きたい」と願うようになりました。その後、ご神縁を得て嫁いだ先が、信心のある山下家だったのです。

 ところが、三世代が一緒に暮らす生活が始まると、それまで育った環境や考え方の違いから、家族の中に不協和音が生じるようになりました。信心していても、人間関係の上に摩擦が増えていく中で、夫に相談すると、「あんたのいいようにしなさい」という言葉が返ってくるだけでした。ツユさんは、「この先、どうなるのか」と不安に駆られるとともに、心の中には不満がたまっていきました。

 そんなある日、何げなく手鏡で自分の顔を見ると、そこには「鬼」のような形相をした自分が映し出されました。ツユさんはその形相に驚き、自分の心の中がどれほど醜くなっているかに気が付きました。

 その日から、心の中の「鬼」を追い出すために、信心のけいこに励みました。やがて、以前の和やかな表情を取り戻していったツユさんは、町内の人からも慕われていきました。

 

心の中の「鬼」を退治するため

それから年月が流れ、ツユさんの長男が結婚しました。ツユさんは、物分かりのよいしゅうとめになりたいと思ってきましたが、いざその立場になると、お嫁さんにすべてを任せる気には、なかなかなれませんでした。つい、自分の流儀にこだわってしまい、何かにつけて言い争いになることが増えていったのです。

 そんなある日のこと、ふと鏡に映った自分の顔を見てハッとしました。自分でも嫌になるようなその顔に、山下家へ嫁いできた当時のことを思い出し、金光教の教祖様のみ教えを思い起こしたのでした。

 それは、「昔から、親が鏡二つ買うて持たして嫁入りをさせるのはなにゆえか。…心につらい悲しいと思う時に鏡を立て、必ず人に悪い顔を見せんようにし、その一家を治めよということである」というものです。

 そのことがあってから、ツユさんは昔のように小さな手鏡を持ち歩くようになり、不足の心が起こった時に自分の顔を映して眺め、心の中の「鬼」を退治するための教会参拝にも、あらためて取り組みました。

 そうして、七十代までは仕事が済んだ後に教会にお参りをし、八十代になって足腰が弱ってからは、電動三輪車でお参りを続けました。九十歳を超えてからは、近所の人が自動車で教会まで送迎してくれるようになりました。

 ツユさんは、嫁いでから今日まで、教会の祭典に合わせて野菜の植え付けをし、自ら収穫した物を神様にお供えしてきました。今では耳も遠くなり、腰は前のめりに大きく曲がっていますが、ご大祭には長年の信心友達と教会に泊まり込みでご用に務めています。

 近所のお嫁さんや信徒仲間から母親のように慕われているツユさんは、つやのある和らいだ顔と言葉で、若い人たちに元気を与えています。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています。
メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2009/02/12 15:14:14.163 GMT+9



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