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一からやり直します【金光新聞】

数千万円の借金

 還暦を迎えた純一さんの家では、子や孫たち、総勢17人がそろって、還暦御礼のお祭りが仕えられました。そのにぎやかなお祭りを前に、純一さんはここまでの道のりを振り返り、感慨無量でした。

 父親と同じ大工の道に進んだ純一さんは、24歳で結婚し、子宝に恵まれ、仕事にも意欲を燃やしていました。

 そんなある日、自宅に一本の電話が入りました。それは、姉からのもので、「すぐに来てほしい」とのことでした。

 姉の家に行くと、義兄が「もう駄目だ。わしは死ぬ」と、わめきながら出てきました。義兄の会社が倒産したのです。

 この日から、純一さんの生活は一変しました。純一さんは、債権者から半ば強制的に誓約書のようなものにサインをさせられ、一晩にして、数千万円の借金を抱えることになったのです。

 さらには、父親が連帯保証人に印を連ねていたため、自宅と畑も売却して負債の返済に充てることになりました。一家はそれまで住んでいた家を出、小さな借家生活を余儀なくされたのです。

 苦しい生活が続く中で純一さんは父親に、「信心がなんや。ご用がなんや。信心してない人の方が、幸せにやってるやないか!」と、怒りをぶつけました。父親は、「こうして仕事を忙しくさせてもらえるのは、健康に恵まれているおかげや。ご用は神様へのお礼や」と言って、変わることなく教会参拝を続け、大祭日は朝から晩までご用に行ったまま帰ってきませんでした。

 小さいころから父親に連れられて参拝していた純一さんでしたが、信心への不満は募るばかりで、教会から足が遠のいていきました。

ここまで来られたのは、当たり前ではなかった

一方で、純一さんは銀行から住宅資金を借り入れて、何とか自らの手で必要最小限のマイホームを建て、狭い借家住まいから解放されました。

 借金も遅滞なく、懸命にやりくりをして返済に努めていた純一さんでしたが、そのさなかに大きな仕事のキャンセルが入り、その上、妻も純一さん自身も病気をして入院するということが重なりました。そんな純一さん一家を心配して、教会の先生は手紙を送り、信徒総代を務める人は様子を見に来てくれました。

 最初はなかなか素直になれなかった純一さんでしたが、ある時、かつて父親が言った、「仕事を忙しくできるのは、健康に恵まれているおかげだ」という言葉を思い出し、はっとしました。「そうだ、ここまで来られたのは、当たり前ではなかった。大変なおかげを頂いていたんだ」と、気付かされたのです。

 一年ぶりに教会に参拝した純一さんは、先生に、「自分の力でここまでやってきたと思っていましたが、慢心でした。一からやり直します」と決意を伝えたのです。

 それからは、実直で誠実だった父親への信頼が裏付けとなって、純一さんが経営する工務店は順調に仕事を受注することができ、借金は10年後に完済できたのでした。

 純一さんの父親が亡くなったのは、穏やかな日々が過ごせるようになって間もなくのことでした。思えば今日まで、借金や病気といろいろなことを体験しながら、「何事も慢心をしてはならない。すべて神様にさせて頂く心でおかげになる」ということを実感してきました。その信心を子孫につないでいかなければならないと、純一さんは、願いを新たにしたのでした。
メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2009/02/27 10:50:03.125 GMT+9



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