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突然のがん宣告に放心【金光新聞】

「なぜ?」「どうして?」

 「悪性リンパ腫です。全身のリンパが腫れています。余命は正確には言えません。早速、抗がん剤治療をしますので、すぐ入院するように」。ある程度、覚悟していたとはいえ、主治医からそう告げられた時、私(55)たち夫婦はショックを隠せませんでした。

 それは、今から5年前のことでした。のどに少し違和感を覚えた夫(60)は、念のためにと最寄りの病院で診察を受けました。この時、がんの疑いがあると言われ、精密検査ができる病院を紹介されたのです。

 突然、がんの可能性を指摘され、不安の中で受けた検査の結果が、悪性リンパ腫でした。夫と一緒に検査結果を聞いた私の心臓は早鐘のごとく鼓動し、衝撃が二人を包みました。

 「なぜ?」「どうして?」。半ば放心状態の中で、にわかにその現実を受け止めることができませんでした。

 それでも私は、「落ち着け、落ち着け」と自分に言い聞かせ、冷静さを取り戻すように努めながら、主治医から今後の治療についての説明を聞きました。夫にしてみても、それまで大きな病気を患ったことがなかっただけに、この告知は青天のへきれきでした。

 夫が入院すると、すぐに、抗がん剤の投与が始められました。最初のうちは、「なぜこんなことに」という不安と疑念が夫の心に渦巻き、いら立ちの表情を見せることもありました。

 しかし、入院日数が進むにつれ、次第に夫の態度に変化が表れてきました。

 それには、訳がありました。同室の患者さんたちは皆、夫より若い人ばかりで、中にはすでに入院して半年がたつにもかかわらず、いまだ適合する抗がん剤が見つからず、治療が進まない人もいたのです。

 そんな人たちを目の当たりにしながら夫は、治療方法が定まり、それに専念できるありがたさに気付き、そのことへのお礼の気持ちがおのずとわき起こってきました。そしてその感謝の思いは、自分の病気全快の祈りを、同室の患者仲間たちの病気全快を祈るものへと広げていったのです。

出された食事はできるだけ食べ切るように

 祈りと共に、夫が心掛けたことがもう一つありました。それは、たとえわずかひと口でも、口から食べ物を頂くことでした。栄養点滴に頼り切らず、どれだけ時間がかかっても、出された食事はできるだけ食べ切るように努めたのです。

 そのためかどうかは分かりませんが、抗がん剤の副作用に苦しむことも少なく、治療を乗り切れました。

 一方、夫の信心仲間の間では、誰が言い出すでもなく、教会に集まって回復の祈りがささげられました。

 こうした、家族をはじめ多くの人たちの祈りの中で、夫は全快することができたのです。その回復ぶりは、主治医も驚くほどのものでした。

 この病気を通して、夫はあらためて、神様、みたま様、家族、知人など多くの祈りを受けての健康であったことをつくづく思い知りました。

 その後の夫は、毎朝、目覚めるたびにまず、新しい命を頂いたことに感謝し、一日を始めています。

 さわやかな風を受け、太陽の光を全身に浴びて、素足で青々とした稲田に立つ夫を遠目にしながら、私は天地自然の中で命を頂いていることに喜びを感じています。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています。
メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2009/04/30 11:58:30.558 GMT+9



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