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伴侶の臨終と家族の絆【金光新聞】

危篤と言われて

 今年2月、相澤みどりさん(82)のご主人が、八十八年の生涯を静かに終えられました。その最期は、家族に見守られながらの安らかなものでした。亡くなられる二週間ほど前、みどりさんから、「主人が風邪をこじらせて、緊急入院しました」と、教会にお届けの電話が入りました。私(62)は教会での勢祈念を終えると、病院へ駆け付けました。【金光新聞】

 みどりさんは私に、「医師は、今夜が山だと言われるのですが、お昼もちゃんと食べましたし、孫娘のむいてくれたおみかんも少し頂いたんです。本当に今夜が山なんでしょうかね」と、どこか、ふに落ちない様子で話しました。

 それから三日後の早朝、みどりさんが教会に参拝してきました。そして、「主人はあれから、静かに休ませて頂いております。この先どうなりましょうとも、万事にお繰り合わせを頂きますよう、お願い致します」とお届けされました。みどりさんのほかにも、子どもさんや、そのお嫁さん、お孫さんたちがそれぞれ参拝しては、病状のお届けや看病をするみどりさんを気遣ってのお願いをされました。

 「おじいちゃんに万一のことがあれば、後に残されるおばあちゃんのことが心配です。おじいちゃんを支え、それを生きがいにしてきたおばあちゃんです。仕事や子どもの学校の都合で、当分は一緒に暮らせませんので、どうぞ、おばあちゃんのことをよろしくお願い致します」。そうお届けされたのは、長男のお嫁さんでした。義父母のことをここまで気遣い、願う姿に、私は胸が熱くなりました。

 危篤と言われてから、一週間、十日とたちました。みどりさんに疲れが出ないようにと、子どもや孫たちで作った付添者のローテーション表が病室に張られ、遠く離れて住むお孫さんたちも、休日を利用してお見舞いに駆け付けました。

看病のローテーションが一巡した日

 回診に来られた医師はその表を見て、「これは素晴らしい! 今日は誰々さんの番なんだね」と感心し、「私は医者になって十年以上になるが、こんな患者さんは初めてです。肺などのデータで見る限りでは、生きているのが不思議なくらいです」と言われたそうです。

 また、「おじいちゃんがじっと寝ているだけでは退屈だろう」と、お孫さんのアイデアで、ご主人の出身校の校歌や好きだった金光教の音楽が静かに流されていました。意識がはっきりしない状態にもかかわらず、時々その音楽に合わせて、手や足の指を動かしていたそうです。

 そうして、家族の看病のローテーションが一巡した日の午後、ろうそくの火が消えるように、ご主人は静かに亡くなられました。

 告別式は日取りをはじめ、すべてにわたってお繰り合わせを得て、しめやかな中にも心温まるご葬儀が仕えられました。

 ご主人は、誰に対してもいつも穏やかに接し、神様をつえにして、誠実に生きてこられました。その姿が、家族や周囲に伝わっていたからこそ、家族がまとまり、このような人生の終わりにつながったのではないかと思います。

 みどりさんは、ご葬儀の後、少し疲れが出た様子でしたが、「これからは、主人の分まで子孫に信心が伝わるよう、祈らせて頂きます」と、今日も元気に教会に参拝しています。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています。
メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2009/08/02 10:24:59.988 GMT+9



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