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あきらめず夢に向かう【金光新聞】

夢は「甲子園のベンチに入ること」

 高校入学時の身長は、148センチ。小柄だった清二さん(38)でしたが、夢は「甲子園のベンチに入ること」でした。【金光新聞】小さいころから野球少年だった清二さんは、都心で暮らしていたことから、周りに野球ができるようなグラウンドがなく、そのため、小学生の時には遠方のクラブチームに通い、中学生になると、一人でトレーニングに明け暮れました。さながら熱血野球マンガの主人公のように、腰に巻いたロープの先に結わえた大きな古タイヤを引っ張って繁華街を走る姿は、近所でも有名でした。

 しかし、体格には恵まれませんでした。それでもあきらめず、「どうしても野球部に入る」という決意は揺るぐことがありませんでした。

 そして、清二さんは神様に祈りながら、甲子園出場経験のある名門野球部を有する高校を目指したのです。

 受験を目前に控えたある日、希望校の見学に出向いた清二さんの目に、生き生きとプレーする野球部員の姿が飛び込んできました。その年、甲子園出場を決めた部員たちが、目を輝かせて練習に励む姿は、清二さんを一層奮い立たせました。

好きなスポーツに取り組める環境づくりに尽力

 その春、希望校に見事合格した清二さんは、入学早々、野球部の門をたたきました。しかし、清二さんを見た監督の表情は優れませんでした。野球推薦で入部した生徒の身長は、180センチ級ばかり。その中で清二さんは目立って小さく、「果たしてこの子が練習についていけるのか」と心配したのです。

 入部した清二さんは、休むことなく練習に励み、誰よりも早くグラウンドへ出ては整備や用具の手入れなどを率先して行いました。1年生の時は球拾いやランニング、筋力トレーニングに明け暮れ、バットやグローブは使わせてもらえません。厳しい練習についていけず、当初、100人を超えていた同級生部員も、3年生の時には20人になっていました。

 3年生最後の夏、清二さんの頑張りをずっと見てきた監督は、彼をマネージャーに抜擢しました。野球推薦で入部したレギュラー選手の中にあっても、ボールに飛びつく執念や俊敏さ、野球に対する情熱と知識が買われ、念願の「ベンチ入り」を果たしたのです。

 共に厳しい練習に耐えてきた仲間に甲子園への夢を託し、清二さんはベンチから声を張り上げてチームを盛り上げ、選手たちを励まし、支えました。しかし、あと一歩のところで強豪校に敗れ、甲子園への夢はかなうことなく、3年間の野球生活は終わりました。最後のボールが相手校のグローブに収まった時、止めどなく涙があふれた清二さん。でも、野球部での経験は彼のその後の人生に、かけがえのない財産として生きています。

 それから20年。清二さんは今、市議会議員として活躍しています。中でも子育て支援に力を入れ、体にハンディキャップがあっても好きなスポーツに取り組める環境づくりに尽力しながら、草野球チームの監督も務めています。高校時代、清二さんの努力を認め、マネージャーに抜擢してくれた監督のように、一人でも多くの子どもたちに夢を与えたいからです。

 夢は、思い通りにかなうとは限りません。しかし、夢をはぐくませる大人たちの愛情が、子どもたちの夢に道をつけ、未来に希望を与え続けるのだと、清二さんは信じています。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています。
メディア 文字 信心真話 よい話 金光新聞 

投稿日時:2009/10/19 09:46:09.209 GMT+9



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