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命賭し出産決意した母【金光新聞】

命賭し出産決意した母

「ご神米様のおかげを頂いて助けられた命だから、あなたは何があっても、神様だけは放してはいけないよ」。これは私( 41)が、母から何度も繰り返し聞かされてきた言葉でした。
 ご神米は、「天地の恵みを表すもの」で「その恩恵を忘れないように」との願いが込められていると、金光教では教えています。
 中学生になったころ、私はご神米で助けられたとはどういうことかと、母に尋ねました。すると、次のような話をしてくれたのです。
 「母さんは、あなたが生まれそうになって分娩室に入った時、意識がなかったの。ただ何かに必死につかまっているような感覚を覚えているだけで、ほかのことは記憶にないのよ。出産後、意識が戻って、右手を開けると、ご神米が握られていたの。それはお父さんが分娩室に入る直前、私に持たせてくれたみたいで、何かに必死につかまっていた感覚は、それだったと思うの。あの時、ご神米を放していたら、助かっていなかったかもしれない。だから、どんな時でも、ご神米様(神様)を放してはいけないよ」
 母はそう語りながら、ご神米の大切さを繰り返し私に伝えました。

 それから20年後、私が35歳の時に母は亡くなりました。悲しみの中、葬儀が仕えられた後、一息ついている私のところに伯父が来て、「おれももう年だから、遺言と思って、怒らずに聞いてほしい」と前置きして、次のように話し出したのです。
 「実はおまえは、堕胎されるはずだった。おまえのお母さんは、事故に遭って、生死をさまよったことがあってな。その後、おまえを授かったのだが、医者からは、『このままでは母子共に危ない』と、堕胎を勧められたんじゃ。その話を聞いた親族は、後に残る三人の子どもたちのこともあるから、医者の勧めに従うように説得し、おまえのお母さんも、一度は納得した。でも教会に参拝して、お取次を頂くと、先生から『神様のおかげの中で授かった命なのだから、母子共に助かるおかげを頂きましょう』と、ご理解されたそうだ。それでも、周りには反対の声が多かったが、あんたのお父さんお母さんは、『母子共に命を助けてほしい。二人が無理ならば、せめておなかの子だけでも』と病院の先生に懇願し、その後のことは神様にお任せして出産に臨んだ結果、無事におまえは生まれてきたんだ。だが、そのことでお母さんは体を悪くしてしまった。でも、決して不足を言わず、むしろ、頂いたわが子を一度でも堕胎しようと考えてしまったことを、亡くなるまで悔やんでいたようじゃ」

 母は、私が物心ついたころから病弱で、無理ができない体でしたが、その原因が私を生んだことだったとは、この時までまったく知りませんでした。
 伯父の話を聞いて、私は怒るどころか、そのような状況の中で、よくぞ生んでくれたと、母の遺影を前に涙が止まりませんでした。私の命は、両親がまさに命を賭して生んでくれたもので、私だけのものではなく、私の中で両親も共に生きてくれていると感じられるようになりました。
 それからは、教会でご神米様を頂くたびに、「神様を放しなさんなよ」という母の言葉が、私の胸によみがえってくるのです。

メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2009/12/19 15:10:52.912 GMT+9



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