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母と身重の娘の板挟み 【金光新聞】

おばあちゃんを引き取れば

 私(63)の母は、91歳になります。父亡き後、妹一家の隣地に建つアパートに移り、妹の世話になりながら一人で暮らしています。私は実家から遠く離れた土地に嫁いでいるので、日常的に母の面倒を見ることができません。
 今年5月、その妹から電話がありました。妹の夫が緊急入院したとのこと。私は妹に、「私はどうすればいい」と聞くと、妹は「今は入院したばかりだから、後でまた連絡するから」という返事でした。
 母の世話に帰ろうか、それともこちらに母を連れてこようか…。いろんな思いが頭の中を巡りました。
 この時、わが家には娘が出産のため、里帰りをしていました。家も狭く、自営業なので主人が家で仕事をしています。といって、身重の娘を残して家を空けるわけにもいかず、本当に困ってしまい、とにかく心中で神様に祈るばかりでした。
 その様子を見て、娘が「おばあちゃんを引き取れば。こんな時こそ、叔母ちゃんの役に立たなくてどうするの」と言いました。私はハッとし、決心がつきました。

 ちょうどそのタイミングで、また妹から電話がありました。「しばらくおばあちゃんを預かってもらえると助かるんだけど、どれくらい預かってもらえる?」。
 私は、「あなたの都合がつくまで、いつまででもいいよ」と答えることができました。
 それからすぐに、母を引き取りました。ところが、最初の一週間くらいはおとなしくしていた母でしたが、だんだんとわがままが出てきました。長い間、気ままに一人暮らしをしていたので、他人と生活のリズムを合わせることができないのです。その上、突然連れてこられて不安だったのでしょうか、私の姿が少しでも見えないとパニックを起こします。母の好物を食べに行ったりと、私なりにできるだけのことをしたつもりでしたが、とうとう「帰りたい」と言い出しました。一方、娘と主人も母のあまりのマイペースぶりにストレスがたまり、ついに娘と母が衝突してしまいました。母は「帰る!」と言っては家を飛び出すようになりました。

私の信心は実に頼りないもの

 これから先、どうしようと途方に暮れかけたところに、妹から「治療法が見つかり、主人の容体が安定してきたから、おばあちゃんを帰してくれてもいいよ」と言ってきました。母を預かって3週間がたっていました。
 早速、新幹線で母を連れて帰りました。その車中、私の携帯電話に「破水したので入院した。すぐに帰ってほしい」と、娘から連絡が入りました。母を届けて一泊する予定が、とんぼ返りで夜遅く家に帰り着きました。

 翌早朝、病院にすぐ来るようにと連絡があり、駆け付けました。予定日より2週間も早い出産でしたが、3060グラムもありました。娘は小柄なので、予定日までお腹に入っていたら、帝王切開だったかもしれないとのことで、ご都合お繰り合わせを頂くとは、こういうことなのだと思いました。
 私の信心は実に頼りないものですが、これまでその時々にお繰り合わせを頂き、問題を乗り越えさせて頂いてきました。この先もいろいろな事があると思いますが、こうしてお繰り合わせを頂いてきたのだから大丈夫と、あらためて神様に御礼を申し上げています。
メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2010/11/22 09:35:56.599 GMT+9



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