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折れた針先が口の中に 【金光新聞】

後ろの座席からすすり泣く声

 10年ほど前のことです。教会に参拝してきた吉良シズノさん(当時76)が、お結界で次のように話しました。
 「きのう、参拝を終えてバスに乗った時、後ろの座席からすすり泣く声が聞こえてきたんです。見ると、女子高校生が声をひそめて泣いていましたので、『どうしたの?』と声を掛けると、『奥歯に何か詰まったので、家庭科の授業で使った裁縫の縫い針で歯をつついていたら、針先が折れてしまった』と言うんです。
『もし飲み込んでいたら、死んでしまうのでは』と、怖くなって、泣いていたんです」
 シズノさんは「金光様、金光様」と唱えながら、その子の助かりを祈っていると、ふと、先ほど教会で下げてもらったご神米(*)のことが頭に浮かんだといいます。

 「これはね、私が参拝している金光教の教会で頂いた『ご神米』というものなの。『神様、どうぞ助けてください』と心の中で念じて、中に入っているお米粒を頂きなさい。必ず、神様が助けてくださるから」。
シズノさんはそう言って、彼女にご神米を手渡したそうです。「そういう訳ですから、先生、どうかその子が助かりますように」と、シズノさんは願われました。
 私は、「人の助かりを願えるのは、ありがたいことです。それこそ、神様からあなたの心の中に分けて頂いている神心なのでしょう。一緒に、その女の子の立ち行きを祈らせて頂きましょうね」と応えました。
 それから数日がたった日の夕刻のことです。シズノさんがちょうど教会に参拝していた時、玄関のガラス戸越しに人影が動いているのが私の目に入りました。私が玄関の戸を開けてみると、2人の女子高校生が立っていました。「どうしたの」と声を掛けると、一人が次のように話し出しました。
 「先日、バスの中で縫い針を飲み込んでしまって泣いていたら、ここにお参りしているおばあちゃんが神様のお米粒を渡してくれたんで、それを食べたんです。そうしたら、翌朝、歯を磨いていた時、口の中から米粒が一つ出てきて、その中に飲み込んだと思っていた針先が入っていたんです」

おかげを頂いたら神様にお礼

 その話に私が驚いていると、続けて「おばあちゃんから別れ際に、『もし、御利益を頂いたら、通学路の途中にある金光教の教会に参拝して、お礼を言ってね』と言われたので、うれしくてお礼に来ました」と、満面の笑みを浮かべて話してくれたのです。
 私は2人の女子高校生に、「どうぞ、お入りなさい。ちょうど、そのおばあさんが参拝しているから」と言いました。
 シズノさんは、その女子高校生の話を自分のことのように喜び、一緒に神様へお礼の祈りをささげました。

 私は女子高校生に、「あなたとシズノさんが一心にお願いをした、その思いを神様が受け止めてくださったんだね。これからも、何かあったら『金光様』と心の中でお唱えし、おかげを頂いたら神様にお礼することを忘れないようにね」と伝えました。
 あれから月日は流れ、シズノさんは、今はもうこの世の人ではありませんが、彼女のことを思い出すたびにあの女子高校生のことが思い出され、その立ち行きを祈らせてもらっています。

*ご神米=神徳が込められたものとして授けられる洗い米。剣先型に折った白紙に入れられている。
メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2011/05/09 17:09:17.299 GMT+9



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