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神様が導いて下さった 【金光新聞】

見慣れない60歳前後の男性が

 今年7月のことです。私の奉仕する教会の朝10時のご祈念が終わって、お広前を見渡すと、見慣れない60歳前後の男性が座っていました。その男性は、私のところに来て、井上保雄の長男だと名乗られ、「実は父が病気で、医師からもう長くないだろうと言われました。もしもの時には、先生にお葬式をお願いしたいのですが」と言いました。
「保雄さんが?」。私がそう尋ねると、「はい。先月、大学病院で検査をすると、胃がんの末期で、肝臓にも転移していました。その後、痛みが出始めたため、家の近所の病院を紹介して頂き、三日前から入院しています」とのことでした。
 保雄さんは大正10年生まれの90歳で、信心熱心なお父さんの元で育ちました。保雄さんも、教会の大祭には夫婦そろって欠かさず参拝されていましたが、最近は高齢になったこともあって、自宅で収穫した新米をお供えしに参拝するだけとなっていました。

 私は、参拝のあるなしにかかわらず、保雄さんのことは毎日気に掛け、祈らせてもらっていました。
 息子さんに、もしもの時の手順を簡単に説明してから、私は「このまま一緒にお見舞いに行かせてください」とお願いし、ご神米(※)を持って病院へ向かいました。これまで信者さんを見舞うことはあまりなく、後から思えば、まるで神様が引き寄せてくださったかのようでした。
 病室には、家族や親族の人たちが10人以上集まっていました。私は皆さんに自己紹介を済ませると、保雄さんのベッドのそばに行きました。保雄さんは目を閉じて休んでいたので、私は持ってきたご神米を、そっと枕の下に入れました。私が枕の下から手を引こうとした時、保雄さんが目を覚ましました。

「もしもの時には、よろしゅう頼まあよ」

「先生、来てくださったんですか。ありがとう。私はおやじと違って不信心者で、勝手ばかりしてきたけど、もしもの時には、よろしゅう頼まあよ」。保雄さんは、はっきりした口調でこう言いました。私は、「何を言いよん。今年も田植えをしたんでしょ。秋には、大祭にお米をお供えしてくださらにゃ」と言って、保雄さんのお腹をさすったり、手を握ったりしながら、10分ほど会話をしました。
 それから、私は教会に戻りました。そうして、夕方の5時40分ごろ、息子さんから、保雄さんが亡くなったと電話が入りました。
 終祭(お通夜)と告別式は、私と妻の二人で仕えさせてもらいました。私は終祭での祭主あいさつの中で、無くなるわずか5時間前に、私を保雄さんのもとへ引き寄せてくださり、家族、親族が見守る中で、会話までさせてくださった神様のお働きのありがたさを話させて頂きました。
 
 葬儀の翌日、保雄さんの長男夫婦が葬儀のお礼参拝に来られました。初めて教会を訪れた奥さんは、「義父は、病院で先生のお願いができて、安心したんでしょうね」と言い、目にいっぱいの涙を浮かべていました。その言葉に、あらためて神様のご縁を頂いていることは、本当にありがたいことだと思わされました。
 神様は、全ての人のことを、ずっとお守りくださっています。このご縁の中で、共に助かり、助かっていく生き方にならせて頂きたいと願っています。
メディア 文字 金光新聞 信心真話 

投稿日時:2011/11/25 10:49:24.284 GMT+9



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