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「あげる信心」を求めて【金光新聞】

子どもの成長には、三つの段階があります

 私はかつて、高校に勤務していましたが、その時、生徒たちと取り組んだボランティア活動を通して、大阪の児童養護施設に勤務している山下淳子さん(51)と知り合い、それからお話しさせて頂く機会がたびたびありました。
 児童養護施設では、離婚や虐待など、さまざまな理由で、親元や家庭での養育が困難と認められた18歳までの子どもたちを預かり、職員が親代わりとなって、身の回りのお世話をします。
 山下さんも数年前まで、13人の小中学生のお世話をしていました。その日常は、13人の子どもを持つ母親と同じで、朝は全員の弁当を作って学校へ送り出し、洗濯やその他の家事をしながら、施設の職員としての仕事もこなします。また、子どもたちが通う学校の懇談会や参観日に出席し、運動会の応援にも駆け付けます。
 時に、問題行動や施設からの〝家出〟もあったりと、気の休まることはないそうです。しかし、山下さんは「この子たちは、さまざまな理由で家庭から切り離されてここに来ています。私たちがこの子たちを見放したら、どこにも行くところがありませんから」と言い、子どもたちの成長過程について、こう話されました。

 「子どもの成長には、三つの段階があります。最初は『もらう幸せ』、次に『できる幸せ』、そして『あげる幸せ』の三つです。
 『もらう幸せ』は、一人では何もできない赤ちゃんから幼児期にかけて、お乳をもらったり絵本を読んでもらったりしながら、親の愛情をしっかり受けていく段階。次の『できる幸せ』は、いろいろなことを学びながら、少しずつ自分でできることの喜びを感じる段階。そして、それを他の人にしてあげることを喜ぶ。つまり『あげる幸せ』を感じながら、人は成長していきます。
 ところが、施設の子どもたちの多くは、親の愛情を受けられずに育っているため、初めの『もらう幸せ』が欠落しています。そこを一生懸命カバーしてあげることによって、最終的に、他の人に何かをしてあげて、その人が喜んでくれることが、自分の喜びになっていきます」

受けたおかげを人に伝える

 私は、山下さんの熱い語りと、その仕事ぶりに敬服すると同時に、施設の子どもたちの立ち行きを願わずにはいられませんでした。そして、お互いに金光教に縁を得ていたこともあり、山下さんにこう話しました。
 「信心させて頂く上でも、三つの段階があるように思います。
 最初の『もらう幸せ』は、神様からおかげを頂くところから始まります。その後、おかげを頂く中で、自分から信心のけいこをするようになり、神様に向かう心ができてくる。これが『できる幸せ』だと思います。そして、三つ目の『あげる幸せ』とは、人を助けてあげることです。
 人を助けるなんて、と思いがちですが、金光教の教祖様は、神様に使って頂く気持ちで、自分がおかげを受けたことを人に伝えていけばいい、といわれています。私は、受けたおかげのありがたさ、信心させて頂くことの素晴らしさを人に伝える『あげる(伝える)信心』を求めていくことが大事だと思っています」

 そう話しながら私は、子どもたちの健やかな成長に取り組む山下さんの仕事は、神様の願いがかけられた神様のご用にほかならないと思わされたのです。
メディア 文字 金光新聞 信心真話 

投稿日時:2012/01/05 10:36:15.823 GMT+9



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