「家族でそろって、金光教の信心をさせてもらいたい」。辰乃さん(43)はこのことを願い続けています。
信心熱心な家庭に育ち、彼女自身も金光教の信心を大切にしてきました。
現在、夫と子どもの三人で暮らしていますが、結婚するまで金光教を知らずにきた夫はなかなか教会に参拝してくれません。
辰乃さんは結婚して以来、どうしたら一緒にお参りしてくれるだろうかといろいろと考え、事あるごとに誘ってきましたが、その都度何度も断られてきました。
そうしたことが積み重なるにつれ、「どうして私の思いを分かってくれないの」という思いが高じ、やがて夫を責める言葉になって、だんだんと家庭の中が暗くなっていくのでした。
信心しておかげを頂こうとしているつもりが、かえって家庭不和を引き起こすことになっている現実に、辰乃さんは自分が何をしているのか分からなくなりました。
ある日、辰乃さんは教会に参ってきて、教会長である私に張り裂けそうになった思いを涙ながらに話しました。
彼女の話を祈るようにして聞きながら、私は心に浮かんだことを、次のように話しました。
「神様は、『信心はしなくてもおかげは授けてある』とおっしゃるが、その上で、『信心しておかげを受けてくれよ』と仰せられています。あなたはご主人のことに気をとられ過ぎていませんか。まずあなた自身、信心の地を肥やすことが先ではないですか」
すると、何か大切なことを思い出したかのように、彼女の表情が変わっていきました。
その翌日から、辰乃さんは午前10時のご祈念に合わせて参拝するようになりました。
それまでは、彼女の都合の良い時間に参拝していましたが、教会のご祈念時間に自分の都合を合わせるようにして、神様とのパイプを太くすることに取り組んだのです。
また、祭典やご祈念の時間には遅れないように参拝することをはじめ、腹が立ったりイライラした時は、相手にではなく神様に心を向けるようにし、家の中では笑顔でいることを心掛け、家族に「ありがとう」をたくさん言えるよう努めました。