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ご神米は何かの魔法?【金光新聞】

お母さんの病気の知らせ

 数年前、小学校時代の友人から、随分久しぶりに電話がかかってきました。が、何だか元気がありません。「…ところで、ケイちゃん(私の呼び名)は小学生のころ、よくおなかが痛い時など、米粒や紙のような物を食べていたでしょ。あれって、私でももらえるの?」。お互いの近況を話す中で、彼女はそう尋ねてきました。
 彼女の言う〝あれ〟とは、ご神米(*)のお米とそのお米を包むご剣先の紙のことだと、私はすぐに分かりました。でも、金光教の信奉者でない彼女が、なぜ突然ご神米を欲しいと言うのか、とても意外でした。
 話によると、彼女は高校卒業後、ずっと親元を離れ、実家へ帰ることはありませんでした。ところが、お母さんの病気の知らせを受けて7年ぶりに戻ると、お母さんは、医師から「余命1カ月」と言われる悲しい現実が待っていたのでした。
 以来、ずっと病院に泊まり込んでお母さんの看病をする中、ふと、私のことを思い出したというのです。小学生のころ、毎日2人で遊んでいた時、おなかが痛くなってもすぐにご神米を頂き、しばらくすると再び元気に遊び回る私の姿に、そのご神米は病気をすぐに治してくれる、まるで魔法か何かのように思えたそうです。それで、私に電話をくれたのでした。

 私は、お結界でお取次を頂き、お下げ頂いたご神米を彼女に届け、すでに食事ができなくなっていたお母さんに、ご神米を煎じたお水を飲ませてあげるよう伝えました。
 以来毎日、私は彼女のお母さんの病状回復と、彼女のお母さんへの思いを神様にお受け取り頂けるようにと、ご祈念しました。その後、彼女から連絡はありませんでしたが、私はどうなったかと気にしながら、ご神米を送り続けました。

*ご神米=神徳が込められたものとして授けられる洗い米。剣先形に折った白紙に入れられている

「あなたの真心が、神様に届いたのだと思うよ」

 そうして約1年がたったある日、彼女がひょっこり私を訪ねてきたのです。そして「あの時は本当にありがとう。おかげで毎日、母にご神米のお水を飲ませてあげると、ずいぶん容体が良くなり、8カ月も生きていてくれたのよ。その間、母といろいろ話もでき、親不孝した分の半分くらいは取り戻せたかなと思うの」と、ほほ笑みながら話してくれました。
 私も「良かったね」と喜び、「ご神米は薬ではないけれど、ただのお米でも紙でもないのよ。祈りが込められ、神様のパワーが入っているんだからね。神様のパワーを信じて素直に頂けば、絶対、神様が働いてくれるのよ。あなたの真心が、神様に届いたのだと思うよ」と話しました。

 電話をくれたあの時、彼女は、お母さんに「もっと、ああもしてあげれば良かった。話をしていれば良かった」という、後悔の気持ちでいっぱいだったと思います。普通なら、何とか助けてくださいと願うところでしょうが、彼女は「もう少し親孝行をする時間が欲しい、その時間を下さい」と願いました。
 その願い通り、彼女は短い時間かもしれませんが親孝行することができたのです。お母さんが亡くなったという事実は悲しいことに違いありませんが、8カ月間、彼女としての精いっぱいの親孝行ができたということが、何よりもうれしかったのでしょう。そしてそのことが、彼女自身の助かりになったのではないかと私は思います。

メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2013/11/16 14:25:18.550 GMT+9



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