title.jpg

HOME › 神様がつなぐ一本の道【金光新聞】

神様がつなぐ一本の道【金光新聞】

突然の悲報

 現在、消防士として勤務する山田正也さん(40)は、母親が金光教の信心をしていたこともあって、大阪にある金光教系の高校に学び、バレーボール部に所属しました。そこで前田正輝さんと親しくなりました。前田さんは金光教の教会の息子でした。
 部活では厳しい練習の毎日でしたが、その中で部員の結束は強くなり、とりわけ前田さんとの友情は深まっていきました。  
 高校を卒業すると、前田さんは体育大学に進学し、バレーボールに打ち込みましたが、心臓に疾患のあることが判明し、やむなく大学を中退。その後は、金光教の教師養成機関である金光教学院に入学し、修行に励んでいました。すでに卒業から6年がたっていたある日、正也さんのもとにバレー部時代の仲間から電話が入りました。
 「前田君が亡くなった」 突然の悲報に、正也さんのショックは激しく、親友の死をどう受け止めていいのか分かりませんでした。

 それから数年がたち、正也さんは結婚することになりました。その際、高校時代のバレー部の仲間たちが、「結婚式に前田君を呼ぼう!」と、正也さんに内緒で前田さんの生前の声が入ったテープを入手して編集し、言葉をつなぎ合わせて前田さんの結婚スピーチを完成させたのです。披露宴でそのスピーチが流されると、正也さんはもちろん、招待されていた前田さんのご両親にも深い感銘を与えました。
 さらに数年後、前田さんの十年祭の時には、今度は正也さんを中心にバレー部仲間が集まり、前田さんの等身大パネルを作って、金光教学院や母校の体育館など前田さんの思い出の場所を一緒に巡り、最後に前田さんの実家である教会に参拝したのです。ご両親の教会長夫妻は、「息子が帰ってきた」と涙を流して喜ばれました。 

「今日も守ってや」

 ところで、正也さんの人生にも、離婚や職場の人間関係などの問題が次々と起きてきました。
 そんなころ、職場の先輩から占い師を紹介され、正也さんは一度行ってみることにしました。
 占い師から「あなたの家の宗教は何か」と尋ねられ、正也さんが「金光教です」と応えると、「天地金乃神(てんちかねのかみ)さんか、素晴らしい神さんやな。絶対に放したらあかんで」と言われたのです。その言葉に、正也さんは驚きとともに言いようのない喜びを感じました。
 それを機に、正也さんは折に触れ、前田さんの教会に参拝するようになりました。
 参拝のたび教会長から、「神様にしっかりお願いしておきなさい」「人生の修行は、時節を待つこと」「神様に常に心を向けておきなさい」などの教えを頂き、ご霊前では、前田さんのみたま様に手を合わせます。
 そして38歳の時、現在の奥さんと再婚し、男の子を授かりました。

 こうして、今日では幸せな毎日を送る正也さんですが、思い返せば、母親が金光教の信心をしていたことが縁で金光教系の高校へ入学し、前田さんと出会いました。前田さんが亡くなった後も、その人生はまるで神様が一つ一つの出来事をつないで、一本の道にしてくださっているようです。
 正也さんの胸ポケットには、笑顔の前田さんの写真が入っています。
 「今日も守ってや」。消防士の仕事に臨む時には、そう写真に語り掛けています。
メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2013/12/04 17:51:38.052 GMT+9



このページの先頭へ