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辛抱の中神の働き実感 【金光新聞】

「東京に行く」

 私の夫は東京に住んでいます。そして、四国で暮らす私のもとに、毎月電話をかけてきてくれます。私たち夫婦は結婚して35年になり、そのうち、夫が東京へ出て21年が過ぎました。私は現在、父の後を継いで教会長のご用をさせて頂いています。
 未信奉者だった夫は、私と結婚するに当たって名字は変えたくないと言い、私は教会の後を継ぎたいと願っていました。
 互いに譲れない思いを持って、私たちは本部広前に参拝し、結婚のお願いを四代金光様に申し上げると、「これまでお世話になってきた人々へのお礼を土台に、お話を進めさせて頂くように」とのお言葉を頂き、結婚後は教会の近くで暮らし始めました。
 それから5年がたったころ、夫はそれまでの仕事を辞め、自分で商売を始めました。ところが、夫が仕事の資金にと当てにしていたお金が、ある事情から全く使えなくなったことで借金を抱えるようになり、数年後には商売を畳まざるを得なくなりました。

 その後、私たち夫婦は、3人の子どもを連れて、当時、父が教会長を務めていた教会で暮らすことにしました。そうした中、平成3年の夏、夫は突然私に、「東京に行く」と告げると、一人、何のあてもない東京へと出発したのです。借金の支払いは、毎月、百万円余りに上っていました。
 夫は東京で必死に働きました。食べることも飲むこともでき難い生活を続ける中、ポケットに五百円玉が入っているのを見つけた時には、これで私に電話をしようか、それともビールかお風呂に行こうかと悩んだこともあったと、後に話してくれました。 

次なるステップに向けた神様からの贈り物

 5年後には、借金の支払いのめども付いていきました。そうして、仕事のことや離れて暮らす私たち家族のことを考えながら辛抱の毎日を重ねる中で夫は、「目には見えないが、確かに天地の大きな流れがある。その流れを感じて生きなければならない」ということを実感していきました。
 子どもが大学に進学する際、入学金を納める期日が迫る中で、「大きな仕事を頂いた」と、夫から必要な額の送金があるなど、神様は必要以上のものはお与えにならなくとも、ここぞという時には、「どうしてこういうことができるのだろうか」というようなお働きを見せてくださいました。私自身、財布の中に数十円しかない日も続きましたが、夫の苦労に比べれば、さほどつらいとも感じませんでした。
 その後、私が教会長としてご用させて頂くようになって、不況の中で自己破産や倒産などの問題を抱えて取次を願う人々が相次ぎました。そうした人たちと向き合いながら、私はこれまで述べたような経験を神様がさせてくださっていたからこそ、その人々の苦しみに本気で泣き、取り組み、願うことができたのだろうと思っています。

 1年ほど前、夫が電話で、「おまえを富士山に連れていってやりたい。足が痛かったらおんぶしてでも連れていくから、体力をつけておけよ」と言ってくれました。私は、その言葉に胸が詰まりました。
 起きてくる出来事は皆、次なるステップに向けた神様からの贈り物。そう信じて、私は天地の親神様に生かされている事実を土台に、これからも夫婦で歩み続けていきたいと思います。富士山へは、神様からのお許しが出た時、連れていってもらうつもりです。
メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2014/01/15 11:33:53.281 GMT+9



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