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ポコは神様の差し向け【金光新聞】

名前はポコ

 夫のおいの正行さん(38)は、一年前に知人から子犬をもらいました。名前はポコで、ダックスフントとチワワの雑種です。ところが最近、彼の住むマンションで犬の飼育が禁止されることになりました。
 そこで正行さんは、「子どもたちが大切に飼っているので、保健所に連れていくのは忍びない。ここなら、子どもたちも見にこられるし安心だから預かってほしい」と、教会でご用をする私に頼みにきたのです。
 しかし、教会で犬を飼うとなると信者さんの迷惑にならないか心配ですし、正直、私は犬が苦手です。それに認知症の義母(88)のお世話もあるので、できれば断りたいと思いました。でも正行さんは預かってもらえると信じているようで、「協力はするから」と言って帰っていきました。
 考えてみると、ポコは一年前も、正行さんがもらっていなければ命がなかったのです。今またその岐路に立つ中、「教会に助けを求めてきた」と、犬の命のことを思うと断れません。不安や心配があっても、先の事はその時々に神様にお願いしようと、私はポコを預かる決心をしました。

 義母には数年前から認知症の症状が見られました。最近ではめっきり口数が減るなど、私はその様子が気になっていました。
 しかしポコが来て2日目、驚いたことに、義母は以前のようにおしゃべりするようになったのです。ポコを相手に優しく、また時には厳しい口調で話し、まるで親しい友人といるようです。
 ポコはお座りして義母をじっと見詰め、しっぽを振ってじゃれたり、体を横たえて眠ったりと、お互いに思うがままにしているのが、何ともほほ笑ましく思えました。
 そして翌朝、義母は「青葉茂れる桜井の里のわたりの夕まぐれ…」と、あの有名な唱歌「桜井の訣別(わかれ)」を何回も歌っていました。子どものころを思い出していたのでしょう。私が「いい歌やねえ」と言うと、にこにこして「そうお」と少し誇らしげで、「私にも教えて」と頼むと「うっふふ」と笑みを浮かべ拍子を取りながら気持ちよさそうに歌います。

ポコのおかげで

 こうして義母は日ごとに明るくなり、家族の会話も以前より増えて、家中がにぎやかになりました。
 また、教会が移転したばかりで、私は地域の人の様子がよく分かりませんでしたが、朝夕ポコと散歩をする中で、言葉を交わせるようにもなりました。私がお世話することばかり考えていましたが、ポコのおかげで地域に溶け込むことができ、実は私の方がお世話になっていたのです。

 四代金光様は「役に立つはたらきとしてすることの大き小さきは問題ならぬ」と詠まれています。このお歌のように、ポコは私だけでは行き届かないところをしっかりカバーしてくれています。神様は、皆が助かり立ち行くよう、わが家へポコをお差し向けくださったに違いありません。
 ポコは血統書もない普通の犬ですが、わが家にとっては、ご神縁に結ばれた特別な犬です。当初は心配もしましたが、義母は今日も元気で朝からポコに話し掛け、笑ったり涙を流したりと、心の内を表現しているかに見えます。そしてポコも伸び伸びと自由に安心して過ごしています。
 日々巡ってくる事は、それがどんな事柄であっても、それぞれに意味のあることで、神様のお計らいであることを痛感しています。
メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2014/07/09 18:04:56.742 GMT+9



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