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「幸せのたね」まく人に【金光新聞】

一番良い方法で出産させて頂きますように

 ある年の初め、私が奉仕する教会に、大学病院の検査部に勤める隆彦さん(53)が参拝してきました。職場の後輩である真代さん(30)夫妻から、待望の赤ちゃんを授かったと報告を受け、職場の責任者である隆彦さんは、母子共に健康に出産を迎えられることと、産休中の仕事のお繰り合わせをお願いされました。
 ところが産休に入る1カ月前、逆子であることが分かったのです。このままなら帝王切開での出産になり、産後の回復に時間がかかるだけでなく、母体や新生児へのさまざまなリスクがあると説明を受けました。

 いよいよ手術するかどうかを決める日を控えた週末、心配顔で気丈に仕事を続ける彼女に隆彦さんは、「僕が信じている神様にお願いしておくから」と、思い切って声を掛けました。隆彦さんが職場で神様のことを口にするのは、初めてでした。
 隆彦さんは教会へ参拝し、あらためて神様への願いをお届けされました。私は隆彦さんと一緒に、神様にここまでのお礼を申し上げ、親の心が芽生え、授かった命を守りたいと願う真代さんの心をお聞き届け頂き、一番良い方法で出産させて頂きますようにとご祈念させて頂きました。

 そして週明け。検査から帰ってきた真代さんは、真っ先に隆彦さんに報告に来ました。逆子が、自然と正常に直っていたのです。
 人の手の及ばないおなかの中で育とうとする命の力と、授かったわが子の無事を祈る親の思いと、周りの人たちの願いに神様が応えてくださったのでしょうか。このことで神様のお働きを確信した隆彦さんは、産休に入る彼女にご神米を手渡し、「これは参拝している教会で頂いたもので、中はお米だけれど、たった一粒のお米からたくさんの命が生まれる。そんな神様のお働きを体に頂くような気持ちで頂いてほしい。無事に生まれるよう祈っているから」と言いました。そして、ご神米の上包み紙に、「ちちははも子供とともに生まれたり育たねばならぬ子もちちははも」と、四代金光様のお歌を自ら書き添えました。
 その後、彼女は願い通り自然分娩(ぶんべん)で元気な男児を出産したのでした。

ご祈念をするうちに浮かんだ言葉

 隆彦さんは、あらためて参拝し、赤ちゃんと真代さん夫妻のために、ご神米をお下げしてほしい、と願い出ました。
 私は喜んでお受けし、これまでの経緯を振り返りながらご祈念していると、ふと心に「幸せのたね」という言葉を頂き、さらにご祈念をしていくと、次のような言葉が浮かんできたのです。
 「家族の間に幸せをくれたちいさないのち/いまは危なげで、温め、抱きかかえていないと枯れてしまう/けれどもいのちはどれもそれ自体で伸びようとする力を持っている/わが思いで与え過ぎると枯れてしまう、守り過ぎると心が細り、曲がってしまう/これから生きていく世界には、大雨も嵐の日もあるだろう/せめて風を避ける盾になり、立とうとするいのちを見守るしかない時もあるだろう/間違わぬよう、見失わぬよう祈りながら、向かわせてもらいたい/彼が、彼とかかわる人の中に幸せのたねを蒔(ま)く人に育つよう」 私はこの言葉を便箋に書き、ご神米と一緒にお下げしました。後日、隆彦さんに真代さんから「これから生きていく上で大切なものを頂いた気がします」と、喜びの声が届きました。


※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています。
メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2015/05/04 09:00:00.000 GMT+9



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