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責任を全て負う覚悟で【金光新聞】

町内会の班長の役を受けて

 私は昨春、町内会の班長の役を引き受けました。周囲の協力もあり、1年がたった今では何とかこなせていますが、就任当初に難しい問題に直面させられました。
 それは、回覧板を回す順番を変更したことが発端でした。
 同じ町内の春子さんとその隣に住む正子さんは、数年前から犬猿の仲でした。そこで、事情をよく知る町内のご婦人たちと妻が相談して、二人が直接関わらないような順番で回すことにしたのです。
 それを聞いた私は妻に、「二人の関係を考えて気を使ったのは分かるけれど、かえって二人は気を悪くしないだろうか」と問うと、「もう決まったことだから」と、口ごもるばかりでした。

 それから数日後、正子さんが形相を変えて、私の家にやって来ました。私は「やっぱり」と思いながら、できるだけ冷静に対応しました。怒りの直接の理由は回覧板の回し方についてですが、根本は春子さんとの確執にあったので、「どうして自分たちがこんなにも責められなければいけないのか」と思いながらも、まずは正子さんの言い分を聞かせてもらうことにしました。
 正子さんと春子さんは、以前は互いの子どもが同級生だったこともあり、親子共に親しかったのですが、ささいなことがきっかけで、数年前から互いに口も利かなくなったというのです。

誰も責めないようにしていこう

 その後も、正子さんは毎日のようにやって来ては、春子さんへの苦情を言い募りました。その理不尽とも思える言い分に半ばへきえきした私は、そもそもこの問題の発端は私に相談せずに周りで決めたことにあるとの思いもあり、その後は妻に対応を任せていました。
 妻は、連日の苦情に心身共に疲れ果て、やがて夜もよく眠れない状態になりました。問題が発生して以来、私はその解決を神様に祈ってきましたが、事態は深刻になるばかりでどう受け止めていけばいいのか、いよいよ考えさせられました。そんな中で、「事前の話し合いで、もう少しうまくやってくれていたら、ここまでこじれずに済んだのに」と、妻や町内の婦人たちを責めている自分に気付いたのです。
 私はまず、誰も責めないようにしていこうと心に決めました。そうして、あらためて神様に、この問題に解決の道を付けて頂くように祈っていくうちに、今回のことは妻に任せ切りにした自分に一番の非があると思い至ったのです。そして、「全ての責任は、班長である自分が負う」との覚悟で、正子さんの家に出向くことにしたのです。

 しかし、正子さんの心はとてもかたくなで、こちらの話を聞いてくれる状態ではありませんでした。私は、まずは正子さんの気持ちを聞かせてもらおう、せめて正子さんに、春子さんとの長年の関係の中でためこんでいたわだかまりを吐き出してもらおうと、辛抱強く聞かせてもらうことに努めました。
 そうして何度も足を運び、正子さんの言い分を聞いていく中で、少しずつ私の話にも耳を貸してくれるようになり、何とか回覧の件は納得してもらうことができたのでした。
 こうして、この問題は収まりましたが、二人の関係が修復されたわけではなく、ここからの立ち行きを願わずにはいられません。私は、町内に暮らす人たちの幸せを引き続き神様に祈りながら、班長の役目に当たらせてもらっています。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています。

(金光新聞「心に届く信心真話」2014年6月15日号掲載)
メディア 文字 金光新聞 信心真話 

投稿日時:2015/09/22 14:00:24.170 GMT+9



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