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信心で臨んだ採用試験【金光新聞】

ご信心で面接に臨んでもらいたい

 私(48)は、8年前に金光教教師にお取り立てを頂くまで、航空会社の客室乗務員として18年間勤務した経験があります。
 昨年、知り合いの教会の先生から、「うちの教会に、客室乗務員を目指している女性(24)がいるので、話をしてあげてほしい」との依頼がありました。在職中は、新人教育の教官もさせてもらいましたが、離職して久しく、正直気持ちが引けていました。
 1カ月後、客室乗務員の採用面接試験を終えた彼女が、どうしても私に会いたいと言ってこられました。私はお役に立てるかどうか不安なまま、私が奉仕する教会に彼女をお迎えしました。
 教会で顔を合わせるや否や、彼女は目に涙を浮かべました。その姿を見て、かつて私自身が4年にわたり採用試験を受け続けたことや、合格のヒントを得るため、現役の方や経験者に会いたくてたまらなかった当時の気持ちがよみがえってきたのです。そしてこの時、「彼女にはご信心で面接に臨んでもらいたい」と、強く思ったのです。

 客室乗務員は、どのような状況下でも乗客に安心感を与える必要があるところから、笑顔が重視されます。彼女は、保育士として働きながら通っていた客室乗務員の養成学校で笑顔の指導を受けていました。しかし、それはいわゆる外見的な指導です。私は、内面的な「心の笑顔」を担当させてもらうことにしました。
 そこでまず、私自身が在職中に体験し、役立った事柄などを話しながら、面接で緊張していた気持ちが少しでもほぐれるように努めさせてもらいました。彼女は、帰り際にはすっかり明るい表情になっていました。

祈られていることを支えに

 その後、あの日の面接は不合格だったという電話連絡が入りました。この時私は、かつて何度も採用試験を受け続け、苦労の果てに最終面接までこぎ着けたものの、その大切な面接に時間を間違えて遅刻するという大失態を犯したことを話しました。
 係の人の配慮で面接は受けさせて頂いたものの、ショックのあまり笑顔になれず、見事不合格。この時、面接官から「笑顔だったら良かったのに」と言われたこと。続く他社での面接では、遅刻しなかったことだけでもうれしくて、心からの笑顔で面接に臨むことができ、念願の「採用通知」を頂くことができたことなどを話し、「落ちて分かることもあるから、不合格もありがたいね」と励ましました。
 落ち込んでいた彼女は、私の失敗談に奮起し、諦めずに挑戦する道を選ぶ決意を固めました。

 その後の面接でも不採用が続きましたが、「落ちたのに不思議と幸せです。祈られて今があること、ここまで進めたことに感謝の気持ちでいっぱいです。次も頑張ります」といった内容の手紙やメールが届くようになりました。そして、そうした気持ちで面接を受け続けた彼女は、半年後に見事合格を果たしました。
 採用までには最低3回は面接をクリアしなければならず、大抵の人は、1次面接を突破できても、次の面接の重圧で心の笑顔はどこかへ行ってしまいます。しかし彼女は、家族や教会の先生の祈りに支えられていることを感じながら、受験できること自体を喜んで面接に臨んだのです。
 入社してからも、彼女にはこの採用試験を通して得た経験をもとに、どんな状況も喜びの心と笑顔で臨んでいかれるよう願っています。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています

(金光新聞「心に届く信心真話」2015年1月25日号掲載)
メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2016/05/25 17:22:21.364 GMT+9



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