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入院は手元見直す時節【金光新聞】

通院治療から入院・手術

 8年前から介護施設の職員として働いている京子さん(36)は、 ある時、 腰を痛めてしまい、通院治療をすることになりました。
 もともと、貧血気味なこともあってか、痛みがひどい時には起き上がるのもつらく、病院で痛み止めの注射を打って出勤したり、やむなく欠勤することもありました。そんな中、折あしく職場で転倒して右腕を複雑骨折し、入院、手術することになったのです。
 京子さんは70代の母親と2人暮らしで、祖父の代からの信心です。早速、参拝している教会に「どうぞ手術がうまくいきますように。早く職場に復帰できますように」と、電話でお願いしました。
 手術は無事終わり、10日ほどで退院できるものの約2カ月のリハビリ期間が必要、と医師から告げられました。京子さんのお母さんは、すぐに教会に参拝して、神様に、ここからの立ち行きをお願いしました。

 それから数日後、勤務先から自宅に、「重要な話があるので、(自宅に)伺いたい」と電話が入りました。お母さんは、「病院にいる本人ではなく、なぜ私に?」と、不思議に思いました。
 その話とは、京子さんの進退についてでした。上司は、「事情があったにせよ、再々の遅刻や急な欠勤で同僚に負担が掛かり、苦情が出ていました。今度のことも、完治には時間がかかるでしょう。この際、しっかり治して、心機一転、新しい職場に移ってはどうですか」と言うのです。
 お母さんは、退職勧告ともいえる一方的な話に耳を疑いました。
 「このことを娘にどう伝えたらいいのか…」。お母さんは教会へ参拝し、込み上げる涙をこらえるようにして一部始終を先生に話しました。
 その思いにじっと耳を傾けていた先生は、次のように語り掛けました。
 「お気持ちはよく分かります。けれども、職場が回らないのも事実でしょう。ここは、これまでの仕事や体の使い方を見直す時間を頂いたと思って、体を治すことに専念してみませんか。ここからのことは、一日、一日を神様にお願いし、そのお導きを頂く気持ちで、神様をつえにして歩んでみませんか。そうすれば神様が必ず道を付けてくださいますから」

毎日教会に参拝する中で

 お母さんは、その足で病院に向かうと、入院中の京子さんに事の次第と先生の言葉を伝えました。
 京子さんは、自分の入院中に起きた出来事に驚き、また、その理不尽さを悔しく思いました。それでも、提示された現実を前にして、退職を受け入れることにしました。
 退院後、京子さんは求職活動をしながら、毎日教会に参拝し、その日の立ち行きと今後のことを神様に祈り、先生の話を聞くことを続けました。最初は、こんなことをして何になるのかと自問する毎日でしたが、そのうちに少しずつ、日々健康で過ごせることや働けることは決して当たり前のことではないと思えるようになり、いつしか前向きな気持ちで求職活動に取り組むようになりました。

 数カ月後、けがを完治させた京子さんは、前職の経験を生かせる介護職に再就職することができました。
 新しい職場でもいろいろと問題はあります。京子さんは毎日教会に参拝し、働けることへの感謝と、その日一日、ご無礼や考え違いをしないよう神様に祈り、お取次を頂きながら、仕事に取り組んでいます。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています

(「心に届く信心真話」金光新聞2015年4月5日号掲載)
メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2016/09/07 09:07:59.216 GMT+9



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