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思いやり人とつながる【金光新聞】

清掃活動から地域の人たちとつながり

 私(48)の奉仕する教会がある地域は、駅や商業地域と近く、ポイ捨てされたごみが多くありました。そんな折、地区の自治会長が、ごみ拾いをしている姿を見掛け、私もさせてもらおうと、ごみ拾いを始めました。
 清掃活動を通して地域の人たちとのつながりができていく中で、自治会長から「できる範囲でいいから、この地区の民生委員・児童委員になってほしい」と頼まれ、引き受けることになりました。委員の皆さんは、とても仲が良く、新人の私を温かく迎え入れてくれ、安心したことを覚えています。

 ところが、いざ委員になってみると、出席しなければならない会合と教会行事が重なったりして、出席できないこともしばしばでした。また、私以外の委員は、私より一回り以上も年齢が上の人が大半で、私自身もこの地に嫁いでまだ5年しかたっていないこともあり、共通の話題や地元の話題にもあまり付いていけません。委員たちの輪の中になかなか入ることができず、「委員としてお役に立てていないのではないか」という気持ちが募り、だんだんと気が重くなっていきました。
 それでも、引き受けた以上は、自分の担当地区の人々とのつながりを大切にさせてもらいたいと思い、まずは担当地区の仕事を優先しようと思うようになりました。
 それから数カ月後、ある独居老人の方との関わりができ、一心にお世話をするうちに、相手からもとても頼りにされるようになりました。しかし、自分では親切のつもりで行っていたお手伝いが、ヘルパー(訪問介護員)さんの立場からは、仕事を奪っていることになっていたようです。そんなことから、その方のお世話から手を引かざるを得なくなってしまいました。

先輩たちの姿を思い浮かべ

 この一件で落ち込んでしまった私は、それまで私が見てきた先輩委員たちの姿を思い浮かべていました。
 例えば、会合の時に、開始時刻になっても来ていない委員について、単なる遅刻なのか、理由があっての遅刻なのかなど、事情を考慮して連絡するかどうかを話し合っていた姿を思い出しました。そして、私が欠席した時も、どう声を掛けるべきか気遣ってくださっていたのではないかと思えてきたのです。
 民生委員・児童委員の役割は、さまざまな問題を抱える地域の人々を、それぞれの事情の違いを理解した上で行政につなげることですが、その人だけではなく、問題に関わる全ての人への配慮が不可欠だと気付きました。新人の私にまず必要だったのは、先輩委員たちが私に向けてくれた思いやりに気付き、その中で配慮の大切さを学ぶことだったのです。私が手を引くことになった地区の独居の方も、先輩たちのアドバイスを聞いていたら違った結果になっていたかもしれません。

 その後、先輩たちの姿を思い浮かべ、私なりの気配りを心掛けながら取り組んでみたところ、困ったことが起きた時に、声を掛けてくれる人が増えてきました。たとえそれがささいなことでも、「全ての氏子の助かり」を願われている神様の思いを、その事柄を通して私に気付かせてくださっていると思えるようになりました。行政に関わる仕事ではありますが、この町に関わる全ての人々が助かるよう、神様に願いながら活動させてもらえることを心からありがたく思っています。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています

(「心に届く信心真話」金光新聞2015年5月17号掲載)
メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2016/10/21 11:09:34.424 GMT+9



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