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神様の力添え頂きご用【金光新聞】

二度にわたる母の大腸がん

 10数年前のことです。父と2人で教会でのご用に当たっていた母(84)の大腸にがんが見つかり、手術を受けることになりました。がんは、取り除きにくい場所にあるので難しい手術になるだろうと、医師から事前に説明を受けました。
 私は手術の立ち合いを許され、見届けることになりました。いざ手術が始まると、がんの形状が検査の時とは違い、まるで「この部分を取ってください」と言わんばかりに、切除しやすい所にがんが鎮座していたのです。おかげで母は体への負担も軽く手術を終えることができました。
 手術後、もともと体が弱く持病もあった母は、時々寝込むこともありましたが、元気にご用に取り組んでいました。

 それから数年後、教会長の父が突然亡くなりました。思いがけず教会長の重責を担うことになった母は、毎日、ご神前と父が祭られているご霊前にかじり付くようにひれ伏し、信奉者の立ち行きを願っていました。
 教会長となって数カ月後、検診で再び大腸がんが見つかり、手術を受けることになりました。一人暮らしだった母に代わり、入院中は私が教会の留守番をすることになりました。入院当日、母は教会を留守にすることを神様におわびし、万事に差し支えないようにと願って入院しました。
 手術当日、私は手術の無事を見届けたら教会に戻るつもりで、病院の待合室に待機していましたが、しばらくして執刀医に呼ばれ、「どうしたことか、がんが無くなっているんです。お母さんが目覚めたら、帰ってもらって構いません」と、言われたのです。私は驚きながら、母と一緒に教会に戻りました。

あくまでも神様のお力を頂いて

 教会に着いて、母は広前のご神前に座り、手術もせず、元気に帰ってくることができたお礼を神様に申し上げていました。その時、一本の電話がかかってきました。私が出ると、妻が亡くなったので葬儀をお願いしたいという信者さんからの電話でした。ついさっきまで教会を留守にしていたので、その間にも電話をかけていたのではと思いましたが、先ほど亡くなったばかりで、今初めて連絡をしたとのことでした。
 その知らせに、さっきまで体がふらついていたかに見えた母の背筋が伸び、身支度をして再びご神前でご祈念を始めました。長い間ご祈念を仕えた後、母は私に指示しながら葬儀の準備を進め、父が亡くなって以来、初めての葬儀を無事に仕えることができました。入院前に母が神様に願った通り、万事にご都合お繰り合わせを頂いての葬儀となりました。
 もしも、母が手術を受けて入院していたら、葬儀をお仕えできなかったかもしれないと思うと、神様のお働きを感じずにはいられませんでした。

 神様は、前回の手術で取り除きやすいようにがんの形を変えてくださり、今回は人の手に掛からないうちに、がんを取り除いてくださいました。神様のお計らいに驚きつつも、ご用をするということは自分の力で何とかできるものではなく、あくまでも神様のお力を頂いて、ご用にお使い頂くものなのだと気付かされました。
 現在、母はいろいろな病気を抱え、痛む箇所も多く、身長もだいぶ縮みました。それでも、「こんな私でも、ご用にお使い頂き、ありがたくもったいのうございます。今日も一日ご用にお使いください」と喜び勇んで神様に向かっています。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています。

(「心に届く信心真話」金光新聞2015年10月4日号掲載)
メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2017/01/26 09:39:32.383 GMT+9



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