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神様にお礼申すのが先【金光新聞】

おかげ頂いてんのやがな

 「さあ、明日は成人式。着物を着るぞ! 成人式の後で教会へお参りして、夜には会社の仲間と一緒にスキーに出発!」
 明日からの楽しいことを想像して、 広美さん(20)は仕事中からうきうきです。ところが、 退社時間が間近に迫った夕方、化粧室で鏡を見ると、顔にぶつぶつができていることに気付きました。
 「え、 ひょっとしてじんましん?」。すぐに帰宅した広美さんは、 「これじゃ、明日の成人式どころかスキーも台無し。行けたとしても、おいしい物も食べられへん。どうしよう…」と大騒ぎです。早速病院に行き、診察を受けました。しかし、家に戻ってきても落ち着かない様子です。

 見かねた父の和広さん(48)が「広美、ちょっと待ちなさい」と広美さんを呼び止めて、こう言いました。
 「おまえ、まずは神様に先にお礼申さんとあかんのと違うか?」
 「なんでお礼やの? だってこのままだったら、明日ぶつぶつの顔で着物を着なきゃいけないし、気分も落ち込んでスキーも楽しくなくなるでしょ!」
 「いいや、そうやない。神様がはようにじんましんを分からせてくれはったんやと思うで。心配になって、いつもより早い時間に帰ってきたおかげで、病院にも行けてお医者さんにも診てもらえたやろ。おかげ頂いてんのやがな。そやから、まずは神様にお礼申して、それから、明日からのことをしっかりお願いさせてもらって、早く寝させてもらいなさい。おかげ頂いてるんやから」
 「そうやろか?」
 「そうや。はよ寝とき」
 「うん…」
 広美さんは半信半疑でしたが、和広さんに言われた通り、神様にお礼と、次の日のお願いをして床に就きました。

迎えた当日

 翌日、 広美さんは見違えるほどきれいな着物姿で、 私(34)の奉仕する教会のお広前に参拝してきました。
 お取次を頂こうとお結界に進んできた広美さんに、私が「誰かと思ったら広美ちゃんか。きれいやなあ」と言うと、「へへっ、そうですか? でもね先生、実は昨日の夕方から大変だったんです」と、昨日の一部始終を話してくれ、そして、成人式を無事に迎えられたお礼のお届けができました。その顔にも手にもぶつぶつなんて全くありません。
 広美さんは続けて、「それから先生、今夜、会社の同僚と信州へスキーに行きます。体調のこともそうやねんけど、スキーをするのは初めてなんで、けがや事故なく楽しんで帰ってこられますように」と旅行中の無事をお願いして、うれしさと心配の入り交じった様子で帰っていきました。

 数日後、無事に帰ってお参りに来た広美さんは、お礼もそこそこに、「バスが走ったら道路の雪が舞い上がるって知ってました?」「朝起きて、外へ出てみたらウサギの足跡があって。でも、見てるうちに鼻の中が凍るねん」「リフトからの見晴らしがすごくきれいで…」と興奮冷めやらぬ表情で、土産話をたくさん聞かせてくれました。
 話を聞くうちに、広美さんたちが行ったスキー場は、金光教のある信奉者の方が、精根を込めて一から開発されたスキー場だったことが分かり、私も驚きましたが、広美さんはさらにびっくり。
 広美さんが神様の大きなお働きに包まれて、のびのびと信心のお育てを頂いていることがありがたく、私は神様にお礼を申し上げました。


※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています

(「心に届く信心真話」金光新聞2017年1月1日号掲載)
メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2018/05/05 04:29:59.126 GMT+9



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