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見えないものを大事に【金光新聞】

共同生活のストレスから

 昨年の春、私(28)は職場での仕事や人間関係に行き詰まり、4年間勤めていた会社を辞め、転職しました。収入もだいぶ少なくなったため、安いアパートへの引っ越しを考えていたのですが、いろいろな人たちと共同生活をする「シェアハウス」に興味を持ち、入居することにしました。
 そのシェアハウスは、女性専用で職場からも近く、専用の個室の他は、リビング、トイレ、風呂、洗濯機、キッチンの全てが共用で、それぞれ使った人が片付けや掃除をするのが決まりでした。
 6人の住人とはすぐに仲良くなり、新生活での悩みなども気軽に話せて、とても心強く感じました。夜はお酒を一緒に飲んだり、休日はみんなで料理を作って楽しく過ごしていました。

 しかし、そんな生活も時間がたつにつれ、気になることが出てきました。朝キッチンに行くと、汚れた食器や生ごみがそのままだったり、調理器具が出しっ放しの日もあり、それは弘子さんでした。夜遅く仕事から帰ると、ビールの空き缶やお菓子が散らかったままで、テレビもつきっ放し。それはミキさんでした。気まずい関係にならないようにと、不満を口にすることはありませんでしたが、そんなことが重なるたびに腹が立ち、次第にストレスを感じ始めました。
 とはいえ、引っ越してまだ数カ月。再び引っ越す資金もない私は、上京したころに、一度参拝したことのある金光教の教会で相談しようとお参りし、前の会社でのこと、今の共同生活での悩みを先生に聞いてもらいました。
 先生は、ご自身が教師になるために入学した金光教学院での共同生活を送っていた時の苦労話をしてくださり、「私はある先輩の先生から『信心は、目に見えないものを大事にしないと』と言われ、いろいろ気付かせてもらいました。あなたも神様に心を向けておかげを頂きましょう」と、ご理解を頂きました。その日から、毎日のように参拝してお取次を頂くようになりました。

目に見えないものを大事に

 参拝を始めて1カ月くらいたったころ、シェアハウスでの生活が長い年上の真由美さんに、自分の思いを話す機会がありました。真由美さんは、「私も入ったばかりのころは、みんながマナーを守らないことに怒ってばかりいたわ。でもね知ってる?弘子さんは私たちがいない時、洗濯槽や浴室のカビ取りをしてくれてるの。ミキさんもみんなが出掛けている時、トイレを入念に掃除したり、ごみ捨て場や玄関の掃除をしてくれてるのよ」と教えてくれたのです。
 驚きました。二人とも規則では決まっていないのに、みんなの気付きにくい所を自主的に掃除してくれていたのです。いかに私が目に見えることしか見ていなかったかと、反省させられました。れからは、職場や日常生活の中で、できるだけ周囲にも意識を向けるよう心掛けました。すると少しずつですが、周囲の人たちの何げない気遣いや、知らず知らずのうちにいろんな人たちに支えてもらっていることに気付けるようになってきました。
 教会で先生に言われた時は、正直ピンとこなかった、「目に見えないものを大事に」という言葉ですが、今はその意味が分かるような気がします。神様のお働きというものも、目に見えないことですが、そういうことにも気付ける私でありたいと、最近思うようになりました。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています

(「心に届く信心真話」2017年9月24日号掲載)
メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2018/11/13 09:37:59.216 GMT+9



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