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親の祈りに生かされて【金光新聞】

母の存在に励まされ

 「ドーン!」
 20年前、出張先のフィリピンから帰国して数日後のこと。突然、ハンマーでたたかれたような激痛が、私(当時30)の頭を襲いました。高熱にうなされ、口にしたもの全て吐き出し、体中が赤黒く腫れ上がりました。診断の結果は「デング熱」という感染症。出張先で蚊に刺されて感染したのです。
 デング熱は、通常1週間程度で回復するそうですが、私は、以前から、血液中の血小板が減るという難病を患っていたため、発症後、全身から出血しました。命の危険があるとのことで、即入院となりました。

 「死ぬかもしれない」という不安な気持ちで実家に電話をすると、母は驚いた様子もなく、「神様に祈っているから大丈夫」 と励ましてくれ、翌日、病院に駆け付けてくれました。母は、いつもの穏やかな表情に、 優しい笑みをたたえ、まるで何も案じていないかのようにさえ見え、いつもと変わらぬ母の姿が心強く思えました。
 しばらくして、医師と話をした母が笑顔で病室に戻ってきました。私の持病のことを話したようで、「治るって?」 と聞くと、「持病は治らないって。だけど、『持病がありながらも、デング熱の症状が軽くて良かったで
すよ』とおっしゃってね」と、またうれしそうに笑います。わが子の不運を嘆くことなく、笑顔を見せる母の姿にどれほど勇気づけられたか分かりません。人を救うのに、大げさな励ましも、知識や技術も、ましてや、奇跡
を起こす魔法も要らないんだと感じました。

あふれる涙

 入院3日目の朝のことです。洗面所で鏡を見た瞬間、全身に電気が走ったような衝撃を受け、「誰だ、こいつは?」と心の中で叫びました。
 鏡に映し出された私の顔が、なぜか私ではないように思えたのです。とっさに、「そうか!私は生まれ変わったんだ!私は、死ぬところを、親の祈りを受けて神様に助けて頂いたんだ」との思いが湧いてきて、止めどなく涙があふれました。
「親の祈りの中で生かされていたんだなあ」と、ただただ、感謝の言葉しか出てきませんでした。そして、この日を境に、快方に向かっていったのです。
 入院5日目、母が実家に帰る日が来ました。私が見送ろうとすると、母は泣いていました。「もう大丈夫やから、心配せんといて。ありがとう」と言うと、母は急に真顔になり、「あんたは曲がりなりにも信心をしてくれているから、何も心配していない」と言い、そして、「病室を出たら、あんたの顔が見えんようになるのが悲しいんや」と、またぽろぽろと涙を流すのです。

 母を見送った後、今度は私の涙が止まりませんでした。苦しむ私を笑顔で包み込み、元気を取り戻した私を見て、涙を流して喜んでくれた母。親の深い愛に触れて、親神様のみ心に触れたような気がしました。親神様は、私たち一人一人の助かりを、誰よりも深く大きな祈りで、願い続けてくださっているのだと実感できたのです。さらに、「信心してくれているから心配ない」との母の言葉に、信心することは、神様が安心してくださることでもあるのだと気付かされました。
 あれから20年。私も親にならせて頂きました。親神様の温かく大きな懐の中で生きる喜びに、いつか娘も気付いてくれればと、母のように、私も娘のことを祈らずにはいられません。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています

(「心に届く信心真話」2017年10月15日号掲載)
メディア 文字 信心真話 金光新聞 

投稿日時:2018/12/18 13:54:07.582 GMT+9



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