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神様は人のなかに 人は神様のなかに

金光教報 「天地」5月号 巻頭言

 新緑の香りに、天地の息吹をより感じられる季節となりました。金光四神様は、「天地自然に生えた木は、いかなる風雨にも倒れることはない。人が植えつけた木は、少しの風にも動き倒れる」と教えられ、天地自然の力強さと、人間の力の有限性を表現されました。
 また、教祖様は、「天と地の間に人間がいる。天は父、地は母である。人間、また草木など、みな天の恵みを受けて、地上に生きているのである」「天地は生き通しである。天地が生きているから、人間もみな生きていられるのである」という教えを遺され、「人は小天地」とも、み教えくださっています。
 小天地である私たちは、大天地の命、働き、恵み、心を頂いて、人間として命を頂き、生かされて生きています。宇宙物理学者の桜井邦明さんは、著書の中で、「宇宙には意志があり、人間を含む命はその意志によって誕生した」と言われています。宇宙の意志とは、神の心、神の願いとも言えるでしょう。この神の心、神の願いを頂いて、天地自然はあり、私たち人間を含めた万物は、天地の間に命を頂いているのです。
 親教会の初代教会長は常々、「天地はもとからの天地であって、人がつくった天地ではない。この天地があって、人は生まれたのである。『大地の内において金乃神の大徳に漏るる所はなきことぞ』と教えられてあるごとく、わずかの土地も天地金乃神様のご地面であり、しかも生きたお土地である。だから生きたものが土地からできるのである」と教えてくださっています。
 その親教会の信徒の方のお話です。瓦の注文があり、貨車1台分の瓦を出荷しました。すると、それが焦げつき、代金の回収ができなくなったのです。困り果て、お取次を願われました。その話の一部始終を聞かれた初代は、「ところでAさん、その瓦はどうやって作るとな」と聞かれました。
A氏は、「はい、粘土を水で練って、型にはめて、乾燥させて、それから釜に入れて、火で焼きます」と答えました。すると初代は、「ところでAさん、そもそも、その土は誰の物な」と、さらに尋ねました。するとA氏は、常々話を聞いているので、「それは、神様の御物でございます」と。さらに初代が、「それを練る水は誰の物な」「はい、それも神様の御物でございます」「それを焼く火は誰の物な」「はい、神様の御物でございます」「ところで、できた瓦は誰の物な」「神様の御物でございます」と答えると、「分かっとるなら、よかばい。お願いしとこう」とおっしゃられた。
このお取次をとおしてA氏は、聞いて知っているという世界から、悟りの世界へと進まれました。そこから、先方からの入金があり、おかげを受けられたのです。初代は大天地の世界を語られたのでありましょう。
 金子みすゞさんの「はちと神さま」という詩です。
「はちはお花のなかに お花はお庭のなかに お庭は土べいのなかに 土べいは町のなかに 町は日本のなかに 日本は世界のなかに 世界は神さまのなかに そうして、そうして、神さまは小ちゃなはちのなかに」
天地自然、人間、万物を生かしくださっている神様は、人間の中でも、蜂の中でもお働きくださっています。大天地は、どこまでも万物を生かしてくださいます。小天地である私たちも、人を生かし、自分を生かし、物を生かす、そのようなお役に立ってまいりたいものです。
(財務部長 山下輝信)

投稿日時:2019/05/03 08:52:57.351 GMT+9



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